あまのかぐや

ドクター・ストレンジのあまのかぐやのレビュー・感想・評価

ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)
3.2
ヒーロー+東洋の神秘、医術と魔術と法術みたいな世界。

社長・科学者・兵士・神様などなど、あらゆるパターンのヒーローが登場してきましたが、そしてフェーズが進むごとにそのバリエーションは増える。国王とか、高校生とか…で、魔術師ね。あと前科者もいたね!(このなかでキムタクがやったことあるのは社長と犯罪者ぐらいですね!)

自動車事故で、商売道具の両手の機能を失ったドクターが失意の中でたどりついたカトマンズの奥地で師匠とであい、神秘の力を見せられてこれまでの自分を捨て魔術師として開眼する、みたいなお話。

「ブラックパンサー」はアカデミー賞で、美術とか衣装デザインなど評価されていたけど、この「ドクターストレンジ」の東洋的な、仏教の奥義的な神秘的なデザインは西洋人だけでなく、アジアの東の端っこの島国の民もわくわくさせる。わたしは非常に好みでした。とはいっても、魔術や、それにまつわる技になると話は別。「わー、もう何の話してんのよー」って思う。相変わらず苦手なジャンルなんですけどね。

「インセプション」の目玉ともいえるあの映像マジックのシーンを「あんなのたいしたことない」とばかりふんだんに見せてくる。街だけではなく教会とかサンクタムの内部とか、ぎゅんぎゅんに曲がる、ねじれる、被さる。3Dだったらすごかっただろうなぁ。

で、やはりカンバーバッチはいろんな場面で、とてもうまい俳優だなぁと思うんですが、彼に「ノーブルで傲慢な天才」「笑いもとれる」…そんな役をあてるってどうなの?マーベルヒーローを演じる人って、これまであまり大きな役をやってなくてイメージが固まってない人が「ヒーローになる人」に抜擢され、その重さと、シリーズを追うごとにヒーローと同化してて成長していく様子(すごく上からで申し訳ないんだけど、でもそうやって感情移入していくタイプなので)、それを見るのが楽しくもあったので。他に、だれかこの大役を張れる人がいなかったのか、と、もったいなく思いました。

IWでのあまりに完成された魔術師ぶりに、このわずか1作の映画の中で、普通の(普通じゃないか!)外科医が、そこまでの存在になるってどうよ?っておもっちゃうんですね。

あ、そうか。ということは、IWでの役割を思うと、キャラが完成されていない人じゃダメだったってことか?!

でも、カンバーバッチが、カエシリウスか、いっそエンシェント・ワンあたりだったら、と思ってしまいます。そういうの観たいなぁ。

エンドロール後の映像からすると、続編ではキゥエテル・イジョホー演じる魔術師が闇落ちして敵になるのかしら…

もうひとつのエンドロール後の映像では、NY訪問中の兄上にぬるいビールをあびるほどごちそうするアレです。

主役を囲む重要人物たちが豪華。年齢・性別さらに国籍まで不明っぽいティルダ・スウィントン、ヒロインはレイチェル・マクアダムス(めちゃくちゃかわいい)、カエシリウスがマッツ・ミケルセン。ストレンジをサポートする魔術師仲間にベネディクト・ウォンとキウェテル・イジョホー…近年いろんなジャンルでひっぱりだこの顔ぶれ。映像もだけど配役もお金かかってそう。

ちなみにエンシェント・ワンの吹替、樋口可南子さんでした、樋口さんの声で魔術の奥義を聞いているうちに、何かのドキュメンタリーのナレーションを聞いているような気分になりました。心地よすぎて寝落ちる。しかし、俳優といい吹替え声優といい、すごいな。「魔法使い」という設定自体にディズニーのにおいを感じますが、ものすごいマネーのにおいも感じます…。こわいこわい。



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ここから、すごく個人的な話になりますが、映画、劇場公開時はちょうど娘の受験期間でして。試験会場にはいっている娘を待つ落ち着かない時間に気晴らしに入った映画館でみたものですから、なんとも思い出深い映画なのです。そのわりには現実が迫ってきていて内容が頭にはいってこない、という
…こんな罪深い見方をしてしまって申し訳ないです。
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