本物の舞台を観た。

ロンドンのロイヤル・ナショナル・シアターの上演したものです。映画館で舞台を観るのは珍しいことではなくなってきましたが、ロンドンの上演を観るのは初めてでした。

圧巻の一言。リア王はシェイクスピアの悲劇であり、誰もが知っている作品です。リア王を演じたサイモン・ラッセル・ビールさんの演技力。悲嘆と狂乱を演じるわけですが言葉をなくす演技力。

物語は悲しいものなので、最後まで観ると心打たれます。リア王が娘を信じたばかりに非業の死を迎える。最愛の娘をなくすときの表情。この世の終わりかと思いました。

贅沢な体験をさせてもらいました。

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幕間に20分休憩入れて、3時間45分のランタイム、混雑を避け、敢えて府中のプレミアムスクリーンを選んだのは正解、リクライニングシートでのんびり観る事が出来た
古典の難しさも有り、前回の「ザ・オーディエンス」に比べればなかなか頭に入って来ない

演出にサム・メンデスを迎え、舞台装置、衣装、小道具等デザインを現代風にアレンジした舞台、円形舞台、奈落、花道を駆使した演出で場転換もスムーズ、演出によりかなりハードルは低くなっているのだが、台詞やキャラクター設定などはやはり難しく感じる

劇中、リア王の供に付いているFOOL(道化)の台詞は字幕を見ているだけではそれ自体に意味を見出せない難解な現代詩を見る様だが、聞いている音を聞くと、やはり流麗な韻を踏んでいて美しく感じる、しかし英語が理解出来ないとその魅力は分かり辛い所である

話自体は親しみのある物では無いが、黒澤明「乱」が「リア王」を翻案したもので、その記憶を元に観ていたので、両者を比較するのも興味深かった、黒澤版はより悲劇的側面が強く、NT版はリア王の狂気が喜劇的に描かれていた様に思う、これは演じる俳優の特性もあるだろう

作品自体は難解で見る事に苦労はするが、それでもスクリーンを集中が殺がれる事無く、観続けられるのは劇中を貫くテンションの高さだろうか
高らかに謳い上げる様な台詞も、悲嘆に暮れて嘆く台詞も、舞台上の俳優は皆テンションが高く、目を逸らす事が出来ない

それにこれは私自身の演劇の楽しみ方なのだが、カーテンコールを見るのが大好きなのだ
あの全てが解放された様な笑顔、安堵の表情を見る為に演劇の舞台をライブビューイングを観ているとも言える
今作のカーテンコールも素晴らしかった、いつの日か生でそれを見たいと思う程に

父の日を迎える前に、「お父さんにプレゼントあげなーい」とか言ってる子達にぜひとも観て欲しい作品。

男性陣の演技が上手すぎて号泣させられました。