140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックスの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

4.7
”じゃない方”の奴ら。

おかえりスターロード。
ありがとうガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー。

”おかえり”
最初の劇場予告を見たときに何故
”おかえり”
という言葉を使ったのだろうか?

私たちのほとんどは”じゃない方”なのだと思う。
エリート”じゃない方”の勉強できる奴。
天才”じゃない方”のスポーツ選手。
イケメン”じゃない方”の平凡な風貌な奴。
イジメっ子”じゃない方”のイジメられっ子。
温かい家族”じゃない方”に生まれた者たち。
金持ち”じゃない方”で育った者たち。
愛される”じゃない方”で社会を渡ってきた者たち。
「スター・ウォーズ」”じゃない方”のSF映画。
「ワンピース」”じゃない方”の少年漫画。

”じゃない方”だかこそ気持ちをわかってあげないと。
”じゃない方”から逃げられないから愛おしく思うこと。
”じゃない方”から抜け出せないから憧れてしまう人たち。

だからずっとまた会えるのを待ってたんだ。
「おかえり!そしてありがとう!ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー。」

前作から冴えわたっているOPのタイトルバックがドドーン!出るその瞬間の王道から外れながらも、陽気な音楽と目が離せなくなる仕掛けの連続。追ってくる全身金ピカ族、そしてレトロすぎる効果音と未来的な戦争の仕方のコミカルリミックス演出なんてバカバカしくて、楽しすぎる。そして肝になる心に、過去に、生きることにおいて傷をもった者たちの、日常会話と戦闘シーンのラッシュアワーから生まれる”緊張”と”緩和”。そして本家スペースオペラの偉大なる設定である”父”と”子”の物語。そこから生まれる仲間の歪、離れ離れになることと、新たな幸せという相反する期待感と罪悪感。

SF映画と思うとリアル志向のない、派手さ、滑稽さ、不真面目さの数々。しかしこれは”人間ドラマ”なのだと思う。SF映画の皮を被り、コメディ映画の不真面目さを醸し出し、音楽映画の側面で照れ隠しをしているが、何といってもど真ん中の”人間ドラマ”である。家族”じゃない方”の仲間、過去のトラウマや傷や後悔を分かち合った”ファミリー”(疑似家族としての)冒険活劇なのだ。

だからまた会いたい!
だから応援したい!
だから笑える!!
だから泣ける!!
だから”愛”を感じることができる。

真面目に不真面目、真面目で不真面目。

最高に楽しい!最高に泣ける!
クライマックスの”笑い”と”感動”のラッシュアワーに頬を伝う涙の感触を感じながら笑顔になっている感覚は、そんじょそこらの映画じゃ味わえないんだ!

ジェームズ・ガン監督、「スーパー!」のときから世界は遥か彼方の銀河まで”拡張”しながら、その哲学は変わっていない。大好きな監督な1人です。

「ありがとう!ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー!!」
「待ってるぜ!しこたま生きて。」