八木

ナイスガイズ!の八木のレビュー・感想・評価

ナイスガイズ!(2016年製作の映画)
4.0
タイトルからしてバディムービーだろうな、程度の認識で鑑賞。
主役二人のうち、ライアン・ゴズリング演じるマーチは、初めから最後まで基本的に探偵としての能力の高さは見せず、『愛すべきバカ』ではあるが、相棒としての魅力が薄く見えていた。おそらくは意図的に、そのように見せるよう神経を使って演出したと思います。それだけあって、劇場はマーチのやらかすドタバタでクスクス笑い起こしてたし、コメディとしてこのキャラを確立できているだけで映画としては全然見てよかったと思えるものでした。
対する片割れのヒーリーは剛腕の探偵で、少なくともマーチと一緒になっていく理由はあまりないように見えた。加えてヒーリーは、その過去に何かあったことをにおわせる描写がちょくちょくあり、全体的にマーチより存在感を放っていてアンバランスさも感じた。こちらの詳しい説明はあまりなかったので、もしかしたら続編見込んでいるのかもしれません。
この映画で最高に魅力を放っていたのは、マーチの13歳の娘であるホリーであって、ホリーの存在がこの映画を全部いい方向に向かわせてくれてたと思います。こういう映画では、ただ父親のキャラを立てるためだけの小道具として子供が配置されていることが多いのだけど、ホリーはそういう極端な役割を押し付けられたキャラではなかった。そこが最高だった。子供っぽく足を引っ張ることもあれば、天才的な頭脳の持ち主でもなくて、でも度胸とやさしさと父への愛とこちらも顔がほころぶような笑顔を何度も見せてくれる。この「何度も」てのが重要で、映画的かつ最高のタイミングで意味のある笑顔を見せるわけでなく、ただ素直にホリーがそこにいて時々笑い、その素直さに反応する形でいびつな主役二人の関係性が固まっていくように見えるのです。よってホリーが最高の映画で、ペロペロしたい映画でした。
個人的に「ナイスガイズ」という邦題があまり好きでないので、もうちょっとなんかなかったかなあと思います。
八木

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