140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ナイスガイズ!の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

ナイスガイズ!(2016年製作の映画)
4.2
”銀色の魂”

クマさんみたいなラッセル・クロウと壊れるイケメンキャラのライアン・ゴズリング。その名の通り”ナイス”な配置とかつてのアメリカのドタバタアクションが手に手を取り合って縦横無尽な真面目に不真面目。アンガリー・ライスの気の利いたエッセンスと当時のロサンゼルスの夢現つのヒッピー感、今となっては似非煌びやかなゴージャスを背景に大人のギャグマンガ的な展開をクライマックスに向けて、冒頭、前半のシーンの韻を踏むように加速させていく手法に思わずニンマリ、可愛げ満載。特にライアン・ゴズリングのイケメンが壊れる姿勢は、日本なら大泉洋当たり。ぶつけるキャラクターをしっかりとイケメン名優のポジションでやっているのにアッパレ。「ララランド」に「ブレードランナー2049」にと今年はつくづくライアン・ゴズリングの年なのだなと思いつつ、「あんたの時代は終わったんだ」と言われそうな立場のラッセル・クロウと加速させる凸凹バディ感に夢を感じてなりません。高所落下やクラッシュシーンをかつての名アクション映画の文法やマナーの上に築き、敢えて外してギャグ化する手際の良さと可愛さに、最近の社会派映画の渋滞を路肩を走って煙に巻くような、かつてのアウトロー感が何かと懐かし。汚れちまったこの街に、社会に、悲しみに、不意に訪れる逆転ホームラン的なロマンチズムを「ララランド」と同時期に公開していたのに劇場で見られなかったことを悔やんで仕方ない。