マサキシンペイ

セッションのマサキシンペイのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.6
恐らく誰が見てもハチャメチャに面白い。勿論演奏される音楽も格好良いが、音楽を楽しむ映画というよりはスポ根映画。

主役はマイルズ・テラー演じる、音楽学校のジャズバンドのドラマーのニーマンなのだが、バンド内の友情の演出なども排されており、J・K・シモンズ演じる鬼教官フレッチャーとニーマンの、1vs1のストイックすぎる師弟バトルで全篇が進んでいく。加えて、その練習量を示唆するのが、ドラムの叩きすぎで指から滴り落ちる血の量という演出に、これはボクシング映画かと(笑)

フレッチャーの、もはやサイコパスのようなスパルタ指導で、ニーマンがひたすらケチョンケチョンにイジメ倒されるのだが、ニーマンもまた学歴を鼻にかけ他人を見下し、憎たらしい程に周囲に悪態をつくので、イジメに全く胸が痛めずに、その怒声のインパクトを楽しむことができる。この辺のフラストレーションの溜めなさが上手いなあと思った。

しかも、フレッチャーという強烈なヒールを設定しながらも、改心によるキャラ崩壊や勧善懲悪のベタな構図に落とし込まず、それでいて、そういう展開特有のモヤっとした結末になることもなく、フルテンションでラストまで駆け抜けてスカッと気持ちよく終わる。上等なエンターテイメント映画だ。
マサキシンペイ

マサキシンペイ