たにたに

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターのたにたにのレビュー・感想・評価

4.2
【波打つ鼓動、押し寄せる感動】2022年170本目

3D映像は驚くほどのクオリティ。

1作目との大きな違いは、その3Dの鮮明さ。水の波打つ感じ、水飛沫、光の反射、生き物の肌質。全てが完璧。

もう一点は、ジャンプスケアの多用。
スリラー、ホラーを思わせる効果音と、追う追われるという緩急を使った飽きさせない演出。
ほとんどが子ども達が関わるシーンで使われているというのも面白いですね。


さて、物語はというと。
ジェイクとネイティリは実子と養子キリの4人の子供を持ち、幸せな家庭を築いていた。
前作で死んだはずのクオリッチ大佐は、彼の記憶をコピーしたアバターとして復活。
さらに誰との子はわからぬが、息子がネイティリの子供達と共に成長していた。

話の本筋は、クオリッチ大佐の個人的な復讐心から成るもので、再び人類がパンドラへと襲来する。熱風で森を焼き尽くす人類の野蛮さによって、ナヴィ一族は悲しみに暮れる。

ジェイクは"トゥルーク・マクト"、そして"父親"として村人や子供達を守るために、ホームを離れ、海の部族の元へと身を隠すことを決意。
森から海へ。
故郷を離れ、適応に悩む子ども達。
ジェイクの父親像はまさしく昭和のお父さんで、寄り添うというより、従わせるタイプ。でも!や、だって!を嫌うタイプですね。

今作の微妙なところは、ジェイクとクオリッチアバターの父親同士の戦いにおいて、子ども達が盾にされているということです。
一作目の壮大な物語に対して、今作は個人間の戦いに周りが巻き込まれている感じがしますね。

良い点は、キリの存在。
スピリチュアルな才能に長けた彼女は、今後の活躍に期待ができます。
身近に親がいないことの孤独感と、ネイティリ一家への思いやりに心を奪われます。
また、「タイタニック」を連想させる、転覆する船上での最終決戦は胸熱でした。

大作映画の最前線で今もなお、あくなき挑戦を続けるジェームズキャメロン。
映画の歴史を今後も塗り替えていってほしい。

アバターという映画は22世紀という今から100年後の時代設定であり、"資源"や地球の危機に対する警鐘を鳴らす作品であることは間違いない。しかし、前作と今作ではまだそこまで踏み切れていません。
過去や記憶にフォーカスをしている段階です。
次作以降では、パンドラの未来も垣間見ながら、地球がどのように描かれていくかを期待したい。
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