昨日に引き続きグザヴィエ・ドラン出演作を鑑賞。
本作でのドランは精神疾患を抱えて長期入院を強いられている青年役を演じていますが、
人をおちょくったような表情をしたかと思えば、ふと寂しさを抱えた素の表情を見せたりと、
彼の演技はコロコロ変わる表情や眼差しがとても印象的だなと感じる。
それもあってか、ほぼ会話で構成される映画にも関わらず、
退屈することなく、最後まで彼の巧みな会話に惹きつけられました。
マイケルは両親からの愛情を感じることなく育ち、ずっと心にぽっかりと開いた穴を抱えて生きていたんだなと思う。
その穴を埋めてくれるものをずっと求めていたんだろうけど、幼い頃から愛情に触れずに生きている彼は、
他人との関わり合い方も分からず、人を騙すことで気を惹こうとするけど、周囲からは問題児扱いされる。
でもピーターソンやローレンスの言葉の端々からは確かに彼に対する愛情が感じられたし、
マイケルにはもっとそこに気付いて欲しかったという気持ちもあるけれど、
やっぱり彼の背負う傷や虚しさみたいなものを埋めるには全然足りなかったんだろうな…。
切ないお話ではありましたが、そんなに後味も悪くなく、不思議な余韻の残る映画です。
観終わった後は、何だかこちらの心まで空っぽになるような感覚でした。
