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東海道四谷怪談のchikichikiのレビュー・感想・評価

東海道四谷怪談(1959年製作の映画)
3.9
 四代目 鶴屋南北の原作『四谷怪談』初のカラー映画化作品にして、怪談映画の最高傑作の呼び声高い一作!!


 三味線と義太夫の歌舞伎演出によるオープニング映像からして素晴らしく、簡略化された無駄のない語り口と丁寧かつ、秀逸な演出が光る作品でした!!

 また、役者陣に関しても、伊右衛門(天知茂さん)の優柔不断なクズっぷりや極悪非道な直助(江見俊太郎さん)。そして、お岩(若杉嘉津子さん)の哀しさと亡霊になってからの不気味さなどなど…見応え十分。

 肌寒い季節の備前・岡山から物語が始まり、敵討ちの道中を経て、蒸し暑い夏の江戸へと流れるシンプルなストーリーに、意表を突く数々の演出が加わることで、その都度ガラッと場面の雰囲気が変わる目まぐるしい展開が約76分間に凝縮されているため、飽きる事なく鑑賞すること出来ました!!


 非常にショーアップされた立ち回り等の完成された様式美と様々アングルで捉え、空間的な広がりを与える抜群のカメラーワーク。
 構図取りや背景・美術セットの美しい配置によって、奥行きを感じさせる非常に映画的な画作り。

 そして、夕暮れ時に窓から差し込む西陽、月明かり、蝋燭等の室内照明と実に多彩なライティングの使い分けによって作り出される陰影のコントラストや恐怖感・緊張感を煽るズームインズームアウトも非常に素晴らしかったです!!


 終盤の畳み掛ける様なキレッキレの演出もさることながら、個人的な印象としてはお岩さんが薬を飲まさせてから事切れるまでのシーンのおどろおどろしさが特に、凄まじかったように思います。


 怪談噺が苦手でなければ、ぜひっ!!
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