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チャッピーのRのレビュー・感想・評価

チャッピー(2015年製作の映画)
5.0
うーーーわ! これはめ ち ゃ く ち ゃ おもしろい! 南アフリカに住むアジア系の科学者が、自分で開発したAIの意識データを、警察ロボットにこっそりダウンロードして、その後、まだ赤ちゃんだが人格を持ってしまったそのロボが、チンピラ3人組に奪われて、チャッピーと名づけられて、育てられ、だまされることによってチンピラロボットになっていく様子を描いた前半から、もう無類の面白さ! AIロボの話でありながら、人間の子どものメタファーになっていて、いかに人格の形成が自分の育つ環境に左右されるかを描きつつ、さらにそこからテーマが深まっていき、開発者とチャッピーの関係が、まるで創造主と人間の関係のごとく描かれていく。どうしてそれがために苦悩することとなる意識などというものを与えたのか、どうしてバッテリーの故障した廃棄ロボットに意識をインプットし、はじめから死ぬ運命を与えたのか、死ぬのがこわい、と嘆くチャッピーの姿はまさに無明の生を生きる人間そのもの。しかもそこからさらに深くに入って行って、唯心論的、キリスト教的なテーマをバリバリのアクションの中で考えさせるという、とんでもない展開に。後半は普通のSFアクションとしても、哲学的ドラマとしても最高レベルでおもしろい。何ちゅー映画や! すごいわ。ほんで予想だにしなかったエンディングに向けて、どんどんテンションが上がっていき、人間の醜い身勝手さと尊い利他的性質がむき出しになるクライマックスでは涙がぶわっ! 仏教の生命に関する究極的概念からすると、AIと人間にはあまりにも決定的な差があるわけやけど、その2つの間に何も境界線がないように描くのは、やっぱとてもクリスチャン的で、あくまでAIってものは、創造という概念から発してるんやろなーというのをすごく感じた。クローン技術もまたしかりだよね。この映画を見ると、その内容とは逆に、真に人間とまったく同等と言えるAIってのは決して造られないだろうし、さらにクローンも、たとえ出来たとしても、その元とはまったく違う存在なんだろうな、ということがはっきりと分かる。やはり人間は、あくまで物質と精神、そしてその2つを統合する生命、という3つが、宇宙にまで及ぶ環境世界と絶えず連動して、共に脈動するおそろしく複雑かつ尊極な存在であり、量子力学にこそその存在を解き明かすキーがあれど、工学が現在の人知や生命の表層的現象のリミットを超えることは今んとこまずないだろうなーと思った。いやー、スゴイですわ、この映画は。めちゃめちゃ考えさせられたし、二、三非常に重要な示唆も与えてくれた。ほんで最後がまたゾッとするようなハッピーエンドという…笑 若干の欠点はあれど、こんな映画は他にまったく見当たらない!し、アンレイテッドバージョンはさらに良いのだろうと想定して5点! あ、あと音楽もサイコー!
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