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スノーデンのYYamadaのレビュー・感想・評価

スノーデン(2016年製作の映画)
3.7
【実話に基づく傑作映画たち】
 ~事実は小説より奇なり

◆ベースとなった史実
〈国際的監視プログラムの存在発覚〉
~『ガーディアン』誌に機密暴露 / 2013年
・場所: 香港
・人物: エドワード・スノーデン

〈見処〉
①現代のタブーを描く、超問題作
・『スノーデン』は、2016年に製作された伝記映画。
・舞台は2013年6月の香港。アメリカ国家安全保障局NSAの職員である29歳の青年エドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レビット)の告発をイギリスのガーディアン誌が報じたスクープにより、アメリカ政府が秘密裏に構築した国際的監視プログラムの存在が発覚する。
・平凡な若者スノーデンが、輝かしいキャリアを捨ててまで反旗を翻すまでに至ったのか。テロリストのみならず全世界の個人情報が監視されている事実に危機感を募らせていく過程を、パートナーとしてスノーデンを支えたリンゼイ・ミルズとの関係も交えながら描き出す…(eiga.comより抜粋)。
・本作で描かれる監視プログラムには、マイクロソフト、Facebook、Googleなどの情報がNSAにより通信傍受されていたことや、「日本が同盟国でなくなった場合は電力システムを停止させられるソフトウェアを仕込んだ」など同盟関係の亀裂が生じかねないような現代のタブーに斬り込んでいる。

②本作製作の高きハードル
・本作の監督オリバー・ストーンは『プラトーン』『JFK』『ブッシュ』などの問題作を手掛けてきたハリウッドを代表する社会派監督であるが、その彼をもってしても、製作に躊躇するようなテーマ。
・スノーデンが機密情報を『ガーディアン』誌に暴露した2013年の翌年から本製作のプロジェクトが本格化、オリバー・ストーンは複数回に渡ってモスクワでエドワード・スノーデンと会い、また、スノーデンの弁護士の要請などの説得材料に後押しされて、ストーンは映画製作を受諾。
・しかしながら「アメリカ人に関する話なのにアメリカでこの映画に出資できないというのは実に奇妙だ。あからさまに国家主義的でない題材に対し、このことがどのような影響を与えるかを考えれば、これは非常に憂慮すべき事態だ。既に亡くなった市民活動家についての映画は作れるが、現在の人物についてはそれが容易ではない(wikipediaより)」とオリバー・ストーンが後述するように、製作参加する米国企業は現れず、資金調達に苦戦。
・結局は欧州からの資金調達により、撮影は2015年2月16日よりドイツを中心に行われたが、NSAの干渉を恐れ、米国での撮影は必要最低限のロケとなったそうだ。

③結び…本作の見処は?
○: 近年は作品質が低調気味のオリバー・ストーンであったが、現在でもその力量は衰えていないことを証明した社会派作品の佳作。本作の欠点は見当たらない。
○: ドラマ『Twenty-four』ばりの驚愕の諜報行為は、サスペンスドラマの題材としても相応しい内容となっている。
○: 出演ギャラを全て寄付に当てたと言われているジョセフ・ゴードン=レビットの佇まいは、終盤に登場するエドワード・スノーデン本人にそっくり。
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