LudovicoMed

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーのLudovicoMedのレビュー・感想・評価

4.2
映画における続編の定義がマーベルによって崩れつつある。

2010年代を代表するエンターテイメント映画コンテンツにまで上り詰めたMCUシリーズのいっ時の区切りとお別れを告げる本作。

本作で特に思ったことは、地球や実在の都市を舞台としながら、MCUとは、インフィニティストーンが存在してたパラレルの宇宙に舞台を置いていたということ。現実とは違う歴史の中でリアリティラインをどんどん広げていけるし、ストーンにより超人ヒーローが誕生し、GotGのようなスペースオペラも可能になった。
キャップ関連の微妙に現実と異なる歴史を踏んでいる部分も説明がつく。
現実と地続きな別宇宙=ユニバースを作りあげ作品のクロスオーバーを確立したMCUの発明的アイデアには、今となっても驚かされるばかり。
冒頭のそれっぽい説明は、MCUの構造そのもののシステムの説明にもなっている。


とりあえずMCUとしても、今までの個々の映画がインフィニティウォーへの予告編だったんじゃないかっていうくらい、本作一点に集約されてる伏線なりも、尋常じゃないし、アベンジャーズシリーズとしても目まぐるしい進化を遂げている。

アベンジャーズ1作目の地点でこんなオールスターヒーロープロジェクトが成功するはずないと思ってたけど、王道ながら個々のヒーローが集結し、アベンジャーズ結成を描いたこの上ない大成功を収めた。

2作目ではかなり攻めて、前クオリティを保ちつつ、変化球的なプロットのストーリーと共にヒーロー達の苦悩を描いた。

シヴィルウォーでは、アベンジャーズ分裂の危機と共に、みんなが見たかったヒーローvsヒーローのアガるアクションと、確かなインフィニティウォーへの架け橋を繋いだ。


本作は、規模やユニバースの物語の進み方からして、未曾有のプロジェクトとなる。

とりあえず、ルッソ兄弟含めケヴィンファイギの10年を見通す眼はすごすぎる。

本作で最も懸念事項だったガーディアンズオブギャラクシーとの合流は、不安を通り越し、最高の化学反応を見せる。

本格的に宇宙に舞台を広げた活劇を展開させ、ガーディアンズオブギャラクシー2.5としても見られるくらい素晴らしい活躍を見せ、確かに本作は、完全にサノスを主人公に置いているが、ヒーロー側では、ガーディアンズとヴィジョン&ウィッチコンビが特に、ヒューマンドラマを深く描かれる。

GotG1からのネタも多く、ノーウェアや、まずサノス対 という構図自体GotGファンには嬉しい。

ソーいじりや、意地っ張りのスターロード、空気の読めないドラックス等、お馴染みの外しギャグ、スラップスティックも作品に華を添える。

もちろんグルートの成長も楽しみの一つ。

スペースオペラの世界にアベンジャーズが舞台を踏み出すことで、より世界観の広がりを見せ、ネクストステージへのワクワクを次作以降に期待させる。むしろ今となっては、ガーディアンズを差し置いてサノスと戦うなんて考えられないと思うくらい、本作に無くてはならない存在にまで感じた。

しかし真の主役は悪役サノス。
オジマンディアス的な思想を持ち、ただ殺戮を繰り返す悪役とは違い、自分の思う正義を貫くタイプ。

何より本作は「犠牲」というテーマを持ち、敵を倒すためには、手に入れるためには、計画を成すためには、大衆を救うためには、 全てが何かと犠牲を引き換えに成り立っている。

その信念を誰よりも強く持っていたからこそ、手にすることができた。

この光景を目の当たりにした観客は、歯痒い気持ちと裏腹に、この信念の強さに納得をもさせられる。
単なる純粋悪でなく人間臭く、描いた点でも苦悩がしっかり刻印されていた。


物語もスピーディーに展開していき、退屈なシーンが一切ない、全篇クライマックス型のいわゆる超おもしろい、ビッグバジェッド作品。


アベンジャーズシリーズとしての本作のテーマでいうと、最強の敵を前に大量のヒーローの「団結」にあると思う。

窮地の場面で他のヒーローが助けてくれる登場シーンのカタルシスも見せ場と同時にファンが待ち望んだ最高の召喚と活躍を見せる。
それでいてチームプレーのアクションが多く、空間をダイナイズムに、個々のキャラの位置関係を丁寧に描き、アクションを通じて団結していく様が最高にアガる。


全体的にダークな展開が多いけれど、その分、くだらないジョークの言い合いが前2作品より増えてるので、個人的にかなり見やすく、笑えるシーンも多かった。


個人的な要望としては、一般市民の救助シーンが欲しかった。
本作のプロットもあってか、ちょっとヒーロー対ヴィランの構図がデカすぎて、モブがほとんど皆無なのは、残念だった。

序盤のディザスターシーンで4人もヒーローがいるので一人くらい人命救助の役割に回る場面があれば、全体的に見ても一般市民の存在を印象付けられたと思います。

でももしかしたら、それすらも伏線として敢えて描かなかったのかもしれないですし次回作では、過去での出来事も描いた作品説もあるので、予想の余地を残した、宙ぶらりんエンディングも素晴らしい。
正直、単体としてもあの鬱エンディングは普通に好みではあるし、こんな風に終わる映画はホント初めて見た。

アメコミファンに向けた次作のハードルの高さが期待を煽り、1400万分の1の確率とBIG3の完全和解を信じ、カタルシス抜群の4を迎えたいです。
LudovicoMed

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