愛鳥家ハチ

キャプテン・マーベルの愛鳥家ハチのネタバレレビュー・内容・結末

キャプテン・マーベル(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

キャプテン・マーベルはまさに無敵のヒーロー(=ヒロインではなく性別を超えた概念としてのヒーロー)でした。しかし、超人化する前のキャロル・ダンヴァースは多くの苦労を重ねていました。ホモソーシャルな"男社会"に飛び込み、差別的言動を浴び、フィジカル面でも文字通り地を這いながらも努力を重ね、遂には空軍パイロットとして活躍。そもそも「アベンジャーズ」という名称の由来がキャロルの戦闘機に記されたタクティカル・ネームというのは驚きですね。挫折を経験しながらも巻き返して目標を達成する姿から、あるいは、悪事や不正を許さないキャロルの姿勢から「アベンジャー(報復者)」との二つ名が付けられたのかもしれません。
(「キャプテン・マーベル」の名称はキャロルの最も尊敬する人物であるマー・ベル博士由来?)

ーー構成
本作のひねりの効いた構成もまた秀逸でした。当初は正義の帝国が悪を滅ぼすために戦っているとミスリードさせつつ、少数種族を迫害し弾圧していたのは他ならぬその帝国であったと。本当に助けるべき流浪の民スクラルであるとキャロルが気付いてしっかり手を貸すのもさすが。この辺りは弱きを助け、強きをくじくヒーローの所作そのものといえます。

ーーエンパワメント
また本作は、SFアクション映画の外形を備えた力強いエンパワメント・ムービーともいえそうです。キャプテン・マーベルの圧倒的な力はエンジンから放出された謎のエネルギーを吸収したことにより生じたとはいえ、キャプテン・マーベルを支える意思の強さや芯の強さが能力として発現したとみることも不可能ではないのかなと思います。いやむしろ、現代において自分の正義を貫き通す女性の姿を象徴的に表現したといえると思います。キャロルが立ち上がるシーンは本当に目頭が熱くなりました。

ーー総評
 本作のアクションや映像表現はもちろん出色の出来ですが、更には立ち上がる勇気、前に進む勇気を与えてくれる作品であり、性別や年齢を超えて楽しめるアクション大作なのではないかと思います。ただ、できれば本作は劇場で観たかったですね。巨大なスクリーンと圧倒的な音響で楽しみたかったところです。
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