デビッド・イェーツ監督の描く魔法界はいつも孤独に満ちていて魅了される。
クイニーの、真実には誰かを愛したことのない無垢さが彼女を壊した様子。
愛したコワルスキーが自分から去るのではないかという疑心暗鬼が、彼女を追いつめていく様子が見ていて胸が痛かった。
恋心が強くなればなるほどひとはひとりぼっちになるし、愛情の懐の深さが相手と異なると暴走してしまうよなぁ…という説得力があった。
登場人物の背景を少しずつしか描かないことで、各々の心理描写に目を向けさせることには成功していても、魅力のある人物たちだけに、物足りなさを感じてしまうことは否めない。
前作でいきいきと動いていた人たちが、羽をもがれたかの様に記号的に感じられる側面も。
ただ、グリンデルバルドの人心掌握術は、もはや魔法とは関係なく箔のある恐ろしいものであったし、参加者が自ら望んで支持者になっていく求心力があり、これからが楽しみ。
ヴォルデモートも堕ちていったひとりの小さな支持者に過ぎない、と感じさせられる。
ジョニー・デップ…底知れないですね。
ラストでクリーデンスの正体を突きつけた時も、最期まで本当にそうなのかどうかわからない演出。
惑わせ方が面白すぎました。