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ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女のHKのレビュー・感想・評価

3.5
吸血鬼モノが続きますが、今度はなんとイランのヴァンパイア映画!
イラン映画はキアロスタミやファルハディ作品しか観たことないのでちょっと新鮮。
全編スタイリッシュなモノクロで、ちょっとジム・ジャームッシュ風かとも思いましたが、ジャームッシュの傑作吸血鬼映画『オンリー・ラバーズ・レフト・アライブ』とは全く違うテイスト。

イランの吸血鬼少女ということで衣装はやはりチャドル。
そこは、ソレらしくていいとして、その下のボーダー柄Tシャツが微妙。
一人暮らしのアパートに戻りチャドルを脱ぐと、ごくフツーの女の子といった感じです。
部屋も若者らしくCDが積んであったりして、とくに吸血鬼らしさ(棺やコウモリ)はありません。

この吸血鬼、人を襲う基準やルールもあるようなないような。
夜道を歩く子供の前に突然現れ、いい子か悪い子か聞いたりするのは、なんだか日本の妖怪風。
しかし子供にとっては一生トラウマものの怖さでしょうね。
スケボーまで盗られてしまって可哀そうに。

そして、この吸血鬼少女がある人間の若者と出会い・・・

本作はイラン系アメリカ人の映画監督、脚本家、プロデューサー、女優でもあるアナ・リリー・アミールポアの長編デビュー作とか。
やっぱり女性監督らしい展開です。

この監督は若いのに難聴らしく、実体験から言葉に頼らないコミュニケーションを重視しているそうで、それが作品にも表れているんだとか。
セリフが少ないのはそのせいなんですね。
そこは同じ難聴者としてちょっと共感する部分も無きにしもあらず。

原題は“A Girl Walks Home Alone at Night”
深夜1人で夜道を歩く(もしくはスケボーで滑る)チャドルの吸血鬼少女が独特の雰囲気。
一風変わったイラン風ヴァンパイア映画なんですが、こんな邦題と副題じゃあ全く特徴が伝わりませんね。
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