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バケモノの子のNMのネタバレレビュー・内容・結末

バケモノの子(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

レン少年の母が交通事故死。
父とは離婚していて迎えに来ない。レンは家を飛び出した。

夜の路地裏にしゃがみ込んでいると、ケモノのような人間のような男が通りがかり、弟子になるか?と声をかけた。
警察に見つかり補導されそうになり逃げる途中、またケモノ男の影を見かけ、とっさに着いていった。
すると不思議な世界に迷い込み、少年は戻れなくなってしまった。

ケモノ男の名はクマテツ。
このバケモノ界の宗師はその座を引退して神に転生することを決めたため、跡目が必要だった。
クマテツは立候補するため、すぐにでも弟子を取らねばならなかった。実は宗師になりたいというよりはライバルに勝ちたかった。

ライバルのイオウゼンは立派な人格で人気があり、弟子もたくさん、子どもも二人いて特に兄はとても優秀。
一方クマテツは怪力で無作法、乱暴な性格。
この対決はかなり不利な状況だった。

たまたまついてきてしまっただけのレンは、弟子になることをなかなか承知しなかったが、他に行くあてもない。
レンは名前も言わず、年齢だけは九歳だと言ったのでクマテツは少年を「九太」と呼んだ。

クマテツは道で出くわしたライバルのイオウゼンに喧嘩を吹っかけた。
それを見て九太は、クマテツを誰も応援しておらず彼が一人ぼっちであることを初めて知った。
クマテツはイオウゼンに負けてしまったが、九太は弟子になると伝えた。

宗師だけはクマテツに目をかけてくれている。
それからいつもクマテツに付き合ってくれる幼なじみと、九太を優しく気遣う修行僧。そしてレンにいつも寄り添うハムスターのような小さななにか。

クマテツ以外のバケモノたちはすぐに九太を人間界に帰そうとした。
そしてここでは人間のほうが心の弱さゆえに胸に「闇」を宿し災いをもたらすバケモノとされていた。

話がまとまり翌日から特訓開始。
クマテツは張り切るが、人に教えたことなどなく親も師匠もなく自分だけで強くなった人物。
九太も武道など初めてで行き先多難。

九太は仕方なくクマテツを終始観察し、とりあえず足の動きだけ徹底的に真似した。
するとクマテツを見ていない時でもクマテツの動きをコピーできるようになってきた。
そこで九太は足の動きや身のこなしをクマテツに教え、クマテツは九太に剣や拳を教えた。
十七になると九太はとても強くなったので、クマテツの元には弟子希望者が殺到するように。

九太はあの日人間界とバケモノ界を繋いだ道を再び見つけ、戻ってみる。
図書館に行ってみると、居合わせた女子校生がいじめられていた。
九太が助けてやると、進学校に通う彼女は学問や社会のことを色々と教えてくれるようになった。

人間界とバケモノ界を行き来しながら、その女の子・楓と勉強したり一緒に服を買いに行ったりした。
楓はずっと親のために受験してきたが親は楓自身をかまってくれなかった。楓は家を出て自分で大学へ通うため努力していた。
学問などいろんなことに興味が出てきた九太=人間界では蓮(レン)は、楓の勧めで大学進学に興味を持った。
まずは住民票が必要なので役所へ相談すると、父親の住所があっさりわかった。

会いに行ってみると父は泣いて抱きしめてくれた。
父は母の死を暫く知らされておらず、蓮が行方不明になったあともずっと探し続けていたと言う。

蓮はクマテツのもとに戻ると喧嘩になり、いつもどこへ行っているのかと怒鳴り散らすクマテツに、父のもとで暮らすと告げて去っていった。
しかし喧嘩して出てきた状態の蓮は父にも上手く接することができず、頭にはクマテツのことがよぎる。
結局父の家へ行くのは延期にした。

九太がいなくなるとクマテツは元のように荒くれ者に戻ってしまい、次の弟子探しも進まない。
あれでも親のつもりで接していたらしく、支えでありブレーキであった存在がなくなった。

しばらくして九太がバケモノ界に戻ってみると、クマテツとイオウゼンの決戦の日。

作法に則り、刀は鞘に収めたまま戦うルール。また10拍以上気絶した場合も負けとなる。
イオウゼンが圧倒しクマテツが倒れる。
九太は気まずかったが飛び出し、クマテツに発破をかけた。
するとクマテツは立ち上がり形勢逆転。九太はセコンドとしてともに戦い勝利を収める。
新しい宗師の誕生に会場は湧いた。

そのときイオウゼンの長兄がクマテツに刀を突き刺し、我が父上の勝利だと宣言した。
イオウゼンの長兄・イチロウヒコには、人間のみに宿る「闇」があり、それは九太にある物と同じだった。

実はイオウゼンも、人間界で捨て子だったイチロウヒコを拾いそれを伏せたまま育てたのだった。
イチロウヒコは父イオウゼンに、お前は俺の子であり同じバケモノだと教えられてきた。
しかし明らかに父とは違う自分に納得できないイチロウヒコは心に闇を宿してしまったのだった。

蓮は人間界に戻ると渋谷のセンター街でイチロウヒコに出くわし、決闘が始まってしまった。
ここでは大勢を巻き込んでしまう。
そんなことなどはお構いなしにかかってくるイチロウヒコをどう止めるか蓮は悩む。

その頃バケモノ界では、刺されたクマテツが意識を取り戻し、自分の宗師の座と引き換えに神となって九太の胸の穴を埋めると宣言。

巨大なクジラに姿を変え襲いかかるイチロウヒコに、蓮は自分の胸の穴を開き、二人でともに消えようと覚悟した。
そこへ付喪神に転生し大太刀に身を変えたクマテツが蓮の胸に入り、「胸の中の剣」となった。
今度はクマテツが応援し、急所を見極めた蓮。イチロウヒコは倒れた。

クマテツを胸に宿した蓮は人間界で父とともに暮らし、その後剣を抜くことは二度となかった。
バケモノ界はというと神への転生チャンスをクマテツに譲ってしまった宗師が再び治めていった。


人間は誰しも案外簡単に胸に穴が空いてしまうのかもしれない。それをコントロールできるかどうかでその人の生き方が決まっていくのだろう。
宗師様のキャラがお気に入り。もう一回勤めることになっちゃって面白い。
でもどう見ても猪王山の方が宗師に相応しいと思うけどな。
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