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クリード チャンプを継ぐ男のbackpackerのレビュー・感想・評価

4.0
◾︎『ロッキー』シリーズスピンオフ『クリード』シリーズ第1作

【作品情報】
公開日   :2015年12月23日(日本)
作品時間  :133分
監督    :ライアン・クーグラー
製作    :シルヴェスター・スタローン、アーウィン・ウィンクラー、チャールズ・ウィンクラー、ロバート・チャートフ、ウィリアム・チャートフ
脚本    :ライアン・クーグラー、アーロン・コヴィントン
原案    :ライアン・クーグラー
音楽    :ルートヴィッヒ・ヨーランソン
撮影    :マリス・アルベルチ
出演    :マイケル・B・ジョーダン、シルヴェスター・スタローン、テッサ・トンプソン、フィリシア・ラシャド、アンソニー・ベリュー、他

【作品小話】
『ロッキー』サーガを彩る重要人物アポロ・クリード。信念をその名に冠するファイターに、実は息子がいたとしたら?そんな企画が映画化した作品が本作である。

『ロッキー』のヒットによりアメリカンドリームを掴んだシルヴェスター・スタローン(以下「スライ」)にとって、ロッキーというキャラクターへの思い入れは一入であろう。
『ロッキー・ザ・ファイナル』にて完結を見たシリーズは、ライアン・クーグラーがスライ宅にある脚本の映画化を求めて来訪したことで、新たな風が吹き込まれた。
それが本作『クリード』である。
クーグラー監督は、当初気乗りしなかったスライを説き伏せ「やろう」と言わせた。結果的に、スライは1976年の『ロッキー』以来となるアカデミー賞ノミネートを果たし、ゴールデングローブ賞助演男優賞の栄誉に輝いた。スライの写し身といえるロッキーというキャラクターが、ラジー賞の常連だったスライに"名誉挽回"の機会を与えたのだ。

【作品感想】
『ロッキー』シリーズのDNAを正統に継承した、新時代スポーツ映画の金字塔!

『クリード 過去の逆襲』公開に合わせて久しぶりに再鑑賞しましたが、「これでアガらぬわけがない」という展開の連続に、終始ニコニコしてしまいました。
荒削りな自分が信頼できる師を見つけ、鍛え上げて強くなり、偉大なものへと立ち向かう。現代的にブラッシュアップされた荒々しいボクシングシーンも魅力的で、最高に素晴らしい作品です。

物語自体は、『ロッキー』とかなり似た作りとなっている上に、試合の結末も「相手に勝つのではなく、自分が何者かを証明する」という展開としており、焼き直し的ではあります。
ただ、そこに至るまでのドラマパートには、ロッキーとは異なる出自(呪縛)や苦悩と葛藤がありますので、『ロッキー』スピンオフでありつつ『クリード』の物語としてしっかり確立されていました。

特に、年老いたスライが見せる"導く者"としての新しい一面が良かったですね。
なんやかんや、スライは爺さんになっても「俺が中心で引っ張るんだよ!」という、良く言えばスターとしてのポジションを保ち続けるよう努力してきた人でした。それがここにきて、脇役として主人公の成長を促す役もちゃんとできるんだと、最高の演技で証明して見せました。
思えば、『コップランド』で自慢の肉体を封じてみせたものの酷評を食らったあたりから、演技派の道から遠のいてしまった印象ですが、やっぱりスライはいい俳優ですよ。改めて確信しましたね。
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