ねこ無双

ソング・オブ・ザ・シー 海のうたのねこ無双のレビュー・感想・評価

4.0
さわりだけ観るつもりが、映像の持つファンタジックな世界にすっかり魅了されてしまった。ほんとに絵が素晴らしいです。

光の玉たちを追いかけるシアーシャが白いあざらしに変身して海を泳ぐシーンは影絵みたいに幻想的。
雲の合間から差す光も美しい。
まるでオーロラを表現してるかのよう。

あとキャラクターも可愛いがいっぱいです。
海から頭だけひょっこりさせているあざらし軍団、忠犬のむくむくクー。フクロウたち。妖精のおじさん達。

ドラマも優しくて悲しい話。
少年ベンが幼い頃に失踪してしまった母。
ベンは妹シアーシャのせいだと思い、いつも妹に辛く当たってしまう。
それは父も同じ。妻の失踪後抜け殻となり、心を閉ざしている。
登場人物たちは、辛い事から目を背けるあまり、大切な事に気づけないでいる。
父もベンもフクロウ魔女も。

そんなベンが、家出旅の過程で妹と徐々に心を交わしていく。そして邪魔だったはずの妹が連れさられた時、ベンの勇気が試される。

セルキー族ってスコットランドに伝わる伝説の種族らしいです。
あざらしから人間に変身する種族の神話。
神話だけに諸説あるんだけど、日本で言うと天女の羽衣と近い説も含まれるみたい。
あさらしの皮が無いと海に帰れない…

愛し合っているのに、お母さんがなんで姿を消さなければならなかったのかは、神話を知るとわかります。

妖精のおじさん達が歌う、「黄色い崖に生えているアイルランドの海藻が一番さ♪」の歌はかわいいし、なんかキャッチー。
伝説は知らずとも、この絵の魅力やキャラクターで充分なくらい素敵な映画です。