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人魚に会える日。の小のレビュー・感想・評価

人魚に会える日。(2015年製作の映画)
4.5
やられた。鑑賞後、じわじわきた。そして沖縄の基地問題って、こういうことなのか! とグサリときた。平和な環境に慣れ過ぎて、この平和が何によってもたらされているか、想像力を働かせることを怠っている自分に気づかされた。

鑑賞中、2月に見た『橋の下のアルカディア』が頭の中にチラついて仕方なかった。あの時感じられなかったことが、『人魚に会える日。』のお陰で、感じることができたように思う。

映像は粗削りで、メッセージはストレート。でもそこが若者らしくて良い。かすみのかかったオジサンの頭にガツーンとくる。この映画を高校生(大学に入ってから?)の時に製作したとは、仲村颯悟監督、恐るべし。人を強く、賢くする、葛藤のある環境に身を置いていたとはいえ、10代の若者がこんな映画を作るとは、人生は長さではないとつくづく感じる。

「汝自身を知れ」が座右の銘な私は、自分の不明に光をともしてくれた作品を高評価してしまうけど、この作品がまさにそう。批判や、こうすべきだとの主張があるわけではない。私にとっては、世の中の本質の一端を見事に描き切った作品に思える。

世の中、こういうことなのだ。我々は生きていくうえで、こういうことを知っておく必要があるのだ。若い監督を応援するつもりで見たけれど、とんでもなかった。教えてもらった。
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