こうん

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けのこうんのレビュー・感想・評価

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生まれたその瞬間にスタ―ウォーズの映画世界はすぐ傍にあって、やがてそれは僕の知る世界と並行して存在するようになり、時には交錯したり溶け合ったり分離したり、40年間…分かちがたく、それはありました。

今でもルークのピンチに喧嘩別れしたハン・ソロが「ひゃっほー」と助太刀に戻ってきたときの興奮は心の根深いところに生きているし、心身ともに地獄の縁に堕ちたアナキンが暗黒卿として息を吹き返した時の身震いは細胞レヴェルで覚えていますし、ルークのライトセーバーが勢いよくレイの掌に収まった瞬間に「またはじまった!」と爆泣きしたことは昨日のことのよう。

SWマニアでもオタクでもないけど、想像することの喜びと創造することの尊さをいつも実感させてくれるのが、僕にとってのスターウォーズです。

だからそれが(とりあえず)終わるということで…テンションは青天井だし、なんなら哀しくてもう泣いてますよ。
時にダークサイドに堕ちたこともあるけれども(「ファントム・メナス」と「最後のジェダイ」の時)、このエピソードⅨを目前にして、オビ=ワンの霊体のように穏やかな心持です。

嘘です。

観たくない…!
観れば俺のスターウォーズが終わってしまう。このまま観なけりゃ終わらないけど、観なければならない、そういう責務のみが映画館へと向かわせる。
めちゃくちゃに、いろんな感情が渦巻き自分の中のダークサイドとライトサイドがバチバチに喧嘩しているので、子門真人の「スターウォーズのテーマ」を聴き(毎回やっている儀式だ)ながら平静を保ちつつ、24時の映画館に行ってきました。


観た。観たぞ。観てしまったぞ。
…もう後には戻れない。


まずはこの新三部作たるシークエルを作ってくれたディズニーおよびルーカス・フィルムの方々とJ・J・エイブラムスには心から感謝の意を伝えたいと思います。
ライアン・ジョンソン、あーたにも。

「ジェダイの逆襲」で止まっていた夢の続きを見せてくれて、ありがとう!本当にありがとう!
生きとし生けるもの全てが、フォースとともにあらんことを!



…ということで、ピュアーな気持ちで禊の言葉を奉ったあとは分裂症気味に感想を残したいと思います。
「ライトサイド感想」「ダークサイド感想」「スカイウォーカー感想」の3つ。
後半ふたつはネタバレコメントを時間差で。

【ライトサイド感想】
上記の“ピュア―な気持ち”は嘘偽りないところで、本当にお疲れ様!なのですが、実際のところ、(おおむね)満足しています。

「これこそSWだ!」とか「こんなのSWじゃない!」とか、賛辞や罵倒が飛び交う映画スターウォーズの世界。
その誕生から42年経って、もはや宗教といっても過言ではないほど強大で深遠な文化を持ちえてしまった、運命的で罪深い映画シリーズですよ。
ファンであればあるほど、付き合いが長ければ長いほど、“わたしのSW”が存在し、それはとても冒しがたいものになってしまっている。
映画産業そのものの変遷や技術革新や僕たちの生活の変容による意識の変化などもあり、SW度が高いほどこじれているようなエブリディなのではないでしょうか。
「ファントム・メナス」を待っていた頃は、今とは段違いにみんなピュアだった気がする。

僕もそれなりに長くSWと付き合ってきて、チューイに吠えられて逃げるマウスドロイドがカワイイ…と思う程度の感受性は養われてきた。
そのうえで、シークエル三部作と向き合い、この最後のSWと謳われる「スカイウォーカーの夜明け」を待ち受けました。
いろんな感情が逆巻きましたが、子門真人を聴いて心はニュートラルに、そして通算9度目の例の「デーン!」のオープニングを喰らって、初めて「新たなる希望」を観た5歳児に逆戻りです。

あの時手に汗握って見守った冒険活劇の最新アップデート版が目の前で展開しているぅ!
そういう気持ちに(おおむね)支配された142分間でした。
なんかね、「新たなる希望」からプリクエルからこの「スカイウォーカーの夜明け」まで、それぞれの時の感興が甦ってきて、あぁSWはこういう映画だったなぁと、しみじみ思いまして。
あのワクワクする気持ち。次はどうなるの?こんなの観たことない!ていうね。
全編にわたってそういう気持ちにしてくれたので、「スカイウォーカーの夜明け」は(おおむね)満足ですよ。
あれもこれもよかったし、あるキャラクターのあるリアクションには盛大に泣いた。
いつだったか、スターウォーズが実は9部作で構想しているという話を聞いたときは脳がはじけるように興奮したし、それが長い年月をかけて実現し、今また主人公とともにBinary Sunsetを眺めるこの幸せと感慨と、表裏一体の寂しさ…。

ぼくも今日からミドルネームを“スカイウォーカー”とさせていただいてもよろしいでしょうか?
(来年厄年の男の発言)

あの、何度か(おおむね)と書いちゃいましたが、積年のSWファンは新作をまず喧嘩腰で観てしまうので、真の評価は2回目の鑑賞の後だと思いますし、たぶんめっちゃ泣いて「あー良かった!」という気持ちになる気がします経験上。そういうことです。

点数は落ち着いたらそのうち書き込みます。いったん堕ちて戻ってきたら。
こうん

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