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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けのneroのレビュー・感想・評価

4.0
『終わった、何もかも・・・』
今は42年かかっての最終回に立ち会えたという感慨しかない。

老人の思い出補正かもしれないが、銀座で観た無印SWのあの衝撃ゆえ、いまだに最高のSWはEP4だ。冒頭の視界を覆うスター・デストロイヤーから一気に放り込まれる異世界。唸るライトセーバー、飛び交うレーザー、蠢く異界の住民たち。子供の頃から馴染んだスペースオペラの世界がそこにあった。「これこそ観たかった映像だ!」と、若き天才映像作家の誕生に歓喜した。すべてがアナログでの超絶映像であったことを思うと隔世の感がある。

あれから42年、「宇宙少年ルークの大冒険」というエピソード4/5/6から始まり、「戦乱大宇宙ラブストーリー」たる新三部作1/2/3を経て決着した「SkyWalkerの血脈サーガ」だが、ルーカスの手を離れた7/8/9の続三部作についてはやや半端な時代設定が最初から気になっていた。本来はもっと先、ジェダイが完全に伝説となった時代で展開される物語であるべきではないのか。もっともそれは大当たりコンテンツを手放したくないディズニー側の思惑かもしれない。噂される”シン・スターウォーズ”用に留保しているのかも・・・
きつい言い方をすれば、今回の3部作は「ローグワン」や「ハン・ソロ」と同様のサイドストーリーとして描くべき内容ではなかったかという思いが拭えない。

理由の一つはメカデザインにある。無印=ep4で見せられた計算されたメカデザインは「2001年」以来の衝撃だった。ep5/6とそれぞれに新たなメカが登場し、我々は熱狂した。オリジンストーリーである新三部作ではナブーやコルサントのメカ、そしてアミダラのメイクに至るまで別な星系のデザインラインとして見せてくれた。帝国(となる)側の武器もプロトタイプ的趣を入れ込んであったし、ポッドレースといいクローン戦争でのドロイド軍といい、なるほどこれがCG映像が前提のメカデザインかと思わせてくれる新鮮さがあった。(ストーリーやキャラクターには触れないがね) 
エピソード7で感じた落胆の一つがここだ。旧三部作の各メカが30年以上たってもおなじデザインラインであることの違和感。特にオーダー側の武器・兵器が旧帝國のままというのがどうにも納得しかねた。戦争こそが技術を発展させるのは真理だろう。本来は進化したデザインラインで構築された武器・兵器・戦艦群が提示されて然るべきだ。レジスタンスはカネがないので新規開発は難しいだろうから仕方ないが、せめて改造・合成などの悪あがきメカ感がもっと欲しかった。SWという世界を繋ぐメカ/ガジェットとしてはライトセーバーとおんぼろファルコンくらいで良かったはず。(ep7でのファルコンの機動は良すぎた) ドロイド2体も引っ張りすぎ。完全に動作不能となっていてBB-8にメモリー移植とかでも良かったのでは。

ストーリーについては触れないが、すっかりX-MEN風超能力戦と化したフォースバトルも含め、3部作トータルの感想としては、残念ながら前の6作品で感じたような「映像としての驚き」は得られなかったというのが正直なところだ。印象的だったのは石の惑星での戦闘シーンくらいかな。

それでも、すべてをスクリーンで見ることができたのは幸運だった。
完結に乾杯!
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