オープニング、いつものシンデレラ城ではなくビーストの城をバックにしたDisneyのロゴ。このOPからすでに楽しみというドキドキが隠しきれない。
美女と野獣の良さを大きく2つに分けるなら、傲慢でガサツな野獣がベルと出会うことによって、人として、一人の男性として素敵な成長を遂げること。そしてもう1つは好きなディズニーミュージックのベスト3に必ずはいるほど心をぎゅっとつかまれる素晴らしいミュージカル。
私が美女と野獣の中で1番好きな曲は、ベルが朝図書館に本を返しに行く1番最初のミュージカルシーン『朝の風景』私的に今作の一番の絶賛ポイントはここにあった。とにかくアニメへの再現性が素晴らしく、ミュージカルらしい一体感と人を巻き込む演出は、このシーンを巻き戻して何度も観たいと思わせる。朝の風景が流れ始めた数分で今作が素晴らしい傑作だということを確信させられた。
そしてアニメ版では描かれない新しい要素も高評価に繋がる大きなポイントだった。ベルにお母さんがいない理由や、野獣が傲慢な性格になった理由。僅かではあるものの、アニメ版では明確にされることのなかった彼等の過去が浮き彫りになり、アニメよりもさらにこの物語に感情移入させられる。ベルがお父さんに、お母さんが大切にしていた宝物を渡したときのお父さんの表情がとくに忘れられなくて、お父さんがお母さんを愛してる想いや、男手1つで育てた父としての想い、全てがその表情だけで伝わってくる。
そしてガストンの手下ル・フゥの性格。アニメではただただ金魚のフンのようにくっついてヘラヘラしてるだけの少しも印象に残るようなやつじゃないのだが、今作ではガストンの人としてかけている部分やそんなガストンにくっついてるだけの自分へ違和感を感じていて、こいつは本当は優しいやつなんだろうなと思わせるシーンが何度かでてくる。まるで『沈黙』のキチジローのような、自分の意志の弱さのせいでガストンから離れられないのだが、この物語に関わるあいだに彼はきちんと成長する。これも映画にしかない重要な見所だろう。
他にも家具にされてしまった使用人達にも一人一人想っている相手がいたり、お父さんも野獣も家具達も、描かれないだけで一人一人に物語があるんだと感じさせられるところがよかった。
町に一度戻るベルをあえて引きとめないというアニメで泣いたシーンでは、オチまでの流れをわかっていても何故かやっぱり涙腺が緩んでしまったし、今作オリジナルのベルがパリへ行って母を想うシーン、過去の出来事を描いたシーンでもやられてしまい、後半はずっとポロポロしっぱなしだった。
物語ももちろんいいのだが、この世界観が何度も観たいと思わせる1番の理由なんだろう。何度見てもあきないだろうと思えることが、1番アニメ版から受け継いでいることだと思った。
あえていうならガストンはこんなにイケメンじゃないし、自己主張するかのようにもっとアゴがでてるはず。。。性格は十分ガストンらしさ満載だけど、見た目の良さからちっともむかつかなくて悪役感がちょっと薄かったかな。
ディズニーアニメが好きな自分にとってディズニーの実写化というのはどうしても抵抗感があるのだけど、今作はその想い扉を開いてくれるきっかけのような作品になったと思う。
