YYamada

ファンタスティック・フォーのYYamadaのレビュー・感想・評価

2.4
オリジナルを凌駕する作品は!?
【リメイク映画のススメ】

◆本作 (リメイク作品)
ファンタスティック・フォー (2015)
・製作国: 🇺🇸アメリカ
・主演: マイルズ・テラー
    マイケル・B・ジョーダン
    ケイト・マーラ
    ジェイミー・ベル
・監督: ジョシュ・トランク
・製作費: $120,000,000
・興行収入: $167,977,596

◆オリジナル作品 (リメイク元)
ファンタスティック・フォー
[超能力ユニット] (2005)
・製作国: 🇺🇸アメリカ
・主演: ヨアン・グリフィズ
    ジェシカ・アルバ
    クリス・エヴァンス
・監督: ティム・ストーリー
・製作費: $100,000,000
・興行収入: $330,579,719

〈リメイク作品のポイント〉
・新たなシリーズ化のため、
 作品設定を再構築(リブート)。
 
〈見処〉
①ゴールデンラズベリー賞戴冠!
 史上屈指のリメイク失敗作。
・『ファンタスティック・フォー』は、2015年に製作されたスーパーヒーロー映画。
・本作の主人公であるリードは、子供の頃から発明の能力に長け、幼馴染みのベンと物質の転送装置を完成させ、科学コンテストに出展する。
・リードの才能に目をつけたストーム博士は、彼を研究員にスカウトし、実用化された転送装置を完成させる。
・しかし、その実験の際に自ら転送装置に入ったリードたちは、異次元の惑星ゼロに送られ予期せぬ事故が発生。異次元のパワーによってリード、スー、ジョニー、ベンが不思議な能力が備わり、それぞれのパワーに苦悩し葛藤する4人。同じ頃、事故で惑星ゼロにとり残された仲間の1人が、信じがたい特殊なパワーを身につけ、邪悪な敵に変貌していた…。
・本作は、1961年に刊行されたコミックにて初登場した、マーベルコミック最初のスーパーヒーロー「ファンタスティック・フォー」の結成を描いたリブート作品。
・原作や2005年製作のオリジナル作品が、スペースシャトルで宇宙飛行中に謎の光線を浴び、特殊能力を手に入れているのに、対して、本作はテクノロジーにて転送された異次元の惑星ゼロの未知のエネルギーによりヒーロー化されている。
・また、本作の「ファンタスティック・フォー」には、期待の若手演技派俳優を抜擢。『セッション』のマイルズ・テラー、本作のトランク監督と『クロニクル』でタッグを組んでいたマイケル・B・ジョーダン、ルーニー・マーラの姉として有名なケイト・マーラ、『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルがキャスティング。
・若者の葛藤を描こうとされた本作であるが、その作品内容から厳しい批評を受け、第36回ゴールデンラズベリー賞で最低作品賞と最低リメイク・パクリ・続編映画賞を受賞した、歴史に名を残す失敗作として認知されている。

②リメイクの難しさ
・アメリカのコミック市場にて、「ファンタスティック・フォー」の成功なければ、スパイダーマンやアベンジャーズ、X-MENなどのヒーローは生まれなかったほどの重要なキャラクターでありながら、映画題材としての親和性は低い。
・「ゴム人間のミスター・ファンタスティック」「透明化とバリアが得意なインビジブル・ウーマン」「炎の力で空を飛ぶヒューマン・トーチ」「全身が固い岩石で覆われるザ・シング」…他のマーベルヒーローと比較すると、その荒唐無稽なキャラクターにリアリティーを出すのは至難のワザ。
・前2作は『スパイダーマン』(2002)により、アメコミ作品が注目されつつあった「黎明期」だったことと、ジェシカ・アルバ人気も相まってヒットを記録。しかし、本作公開のタイミングは、『ダークナイト』シリーズによるリアリティー重視路線と『アベンジャーズ』路線に二極化。
・本作の製作を手掛けた20世紀フォックスは「ネクストブレイク演技派俳優による若者の葛藤」「特殊能力のリアリティー」「X-MENとの世界観共有」をウリにリブートを進めたが、本作の大惨敗によりシリーズ化は中止。
・現在は、その映画化権はディズニーに移った「ファンタスティック・フォー」。キン肉マンに登場する「テリーマン」のように知名度がある重要キャラクターながら、ヒーロー魅力が微妙な難題に対し、どのようにアベンジャーズに合流するのか、今後のディズニーの手腕を見ものである。

③結び…本作の見処は?
○: 大変豪華な若手俳優のキャスティング。
×: ヒーロー登場までの転送装置開発シーンが長すぎる。それでいて転送された異世界がリアリティーを高めるストーリーになっておらず、若者の葛藤も良くわからない。
×: アクションシーンがほとんどない。各キャラクターの魅力も感じない。これではグッズは売れない。
×: 全く魅力のないヴィラン。
×: 暗く無機質、作中音楽も感じ取れない、低予算ドラマシリーズのような演出。
×: PS4ばりの陳腐なCG視覚効果。とくにヒューマン・トーチは、前作シリーズと代わり映えせず、ガッカリ感は強い。

〈リメイク作品の判定〉オリジナル ○
演出    : オリジナル ○
配役    : オリジナル ○
特殊効果  : ドロー ▲
ストーリー : オリジナル ○

そもそもオリジナル作品も決して名作ではないが、本作はリメイク作品として…だけでなく、映画としても酷い。1億ドル以上投下したプロジェクトとして、なぜ製作を止められなかったか?ぜひ「しくじり先生」に登壇いただきたい作品である。
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