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マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフンの小のレビュー・感想・評価

3.7
ライアン・ゴズリング主演、ニコラス・ウィンディング・レフン監督作品『オンリー・ゴッド』の撮影現場を、監督の妻であり女優のリブ・コーフィックセンが密着し、記録に収めたドキュメンタリー(『オンリー・ゴッド』は未見です)。上映最終日に滑り込んで鑑賞。

前作『ドライヴ』が商業的に成功し、かかる期待が大きい中、手掛けていたのはとても作家性の強い作品らしく、その出来と予想される評判に苦悩、葛藤するレフン監督の姿、そんな監督に振り回される妻の不満がとても良く伝わってくる。

レフン監督、とにかくイライラして不機嫌。現場では見せない追い詰められた表情を妻の前では我慢できない。こういうことが不仲の原因になるのだけれど、四六時中、自分を取り繕って澄ましていることはできないだろうから大変。監督もだけど、家族も。

レフン監督のような雰囲気は、大監督ではない自分でもままあること。ストレス耐性が監督より弱いかもしれないけれど、結果は同じなんですな。自分の思い通りに行かないことに焦って、落ち着かず、怒りっぽくなる。

ピリピリムードに家族は気をつかい、不満がたまっていく。怒っている人は、自分のことで頭がいっぱいだから、家族の不満に気付かない。やがて気付くのは離婚を切り出されたとき、みたいな。

あー、身につまされる。監督の映画制作における苦労話というよりは、夫婦関係の危うさの方に目を奪われてしまった。もっとも、この映画を観て一番良かったと思った人は、レフン監督本人じゃないかと。あんな姿の自分を見て、妻の本音を知ったら、変われるかもしれない。自分も妻に撮ってもらおうかしら…。

ということで、自分的ヤレヤレ感のある映画ですが、ライアン・ゴズリングが監督の子どもをあやすなど、彼の素顔が見れるので、ファンは観る価値アリかも。

●物語(50%×3.5):1.75
・身につまされる。

●演技、演出(30%×4.5):1.35
・妻でないと撮れない監督の素顔。ライアン・ゴズリングも結構出てくる。

●映像、音、音楽(20%×3.0):0.60
・タイの高級マンション上層階からの眺めが素敵。
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