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インフェルノのYYamadaのレビュー・感想・評価

インフェルノ(2016年製作の映画)
3.5
【サスペンス映画のススメ】
〈ジャンル定義への当てはめ〉
 ○: 観客の緊張感を煽る
 ○: 超常現象なし

◆作品名:
インフェルノ (2016)
 ~象徴学教授ロバート・ラングドン③
◆サスペンスの要素:
・死のウィルスの拡散阻止

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・ハーバード大学の宗教象徴学者ラングドン教授は、数日分の記憶を失った状態で、フィレンツェの病院で目を覚ます。謎の襲撃者に狙われたラングドンは、美しい女医シエナ・ブルックスに助けられて病院を脱出。
・何者かから追われる身となったラングドンとシエナは、生物学者ゾブリストが人類増加問題の解決策として恐ろしい伝染病を世界に広めようとしていることを知る。そしてゾブリストが詩人ダンテの叙事詩「神曲」の「地獄篇」になぞらえて計画を実行していることに気づき、阻止するべく奔走するが…。

〈見処〉
①ダンテの暗号を読み解き、世界を救え
 大ヒットシリーズ第3作
・『インフェルノ』は、2016年に製作されたミステリー・サスペンス。ベストセラー作家ダン・ブラウンによる2013年の同名の小説を原作とした『ダ・ヴィンチ・コード』及び『天使と悪魔』の続編作品。
・「地球上の人口は10万年をかけて10億人になった。次の100年で20億人。更に50年で倍になり、1970年には40億人に達し、現在は80億人に近い」~生化学者のセンセーショナルな講演から幕を開ける本作。人類の半分を一掃する死のウィルスを解き放ち、人口過剰の問題を解決しようとする生化学者は、ダンテの叙事詩「神曲」に描かれた地獄篇(インフェルノ)にその手口を封入。地獄篇を図像化したボッティチェッリの「地獄の見取り図」や、ダンテのデスマスクの裏に記された暗号を手がかりに、ラングドンはバイオテロを防ぐため、フィレンツェ、ヴェネツィア、イスタンブールと舞台は世界各地を駆け抜ける。
・ロン・ハワードが監督、デヴィッド・コープが脚本を務めた。再びロバート・ラングドン役を務めるトム・ハンクスに加え、フェリシティ・ジョーンズ、オマール・シー、シセ・バベット・クヌッセン、ベン・フォスター、イルファーン・カーンら豪華俳優陣が出演する。

②ロバート・ラングドン
・本作シリーズの主人公である宗教象徴学専門のハーバード大学教授、ロバート・ラングドンは、ダン・ブラウンのサスペンス小説「天使と悪魔」(2000)、「ダ・ヴィンチ・コード」(2003)、「ロスト・シンボル」(2009)、「インフェルノ」(2013)、「オリジン」(2018)の5作品に登場する架空のキャラクター。「天使と悪魔」時点で45歳とされる。
・無神論者で徹底した独身主義者のラングドンは「直観像記憶」という特殊能力を持ち、一度目にした象徴の配列を思い出すことが出来る。また建築物や美術品に造詣が深く、本作冒頭では銃創で記憶喪失に陥りながら窓越しに見えた建物のシルエットだけでフィレンツェにいることを認識している。
・映画シリーズ監督のロン・ハワードは、ラングドンをシリアスなキャラクターに演出するために、トム・ハンクスの天然パーマの髪型をストレートに矯正させている。
・なお、ロバート・ラングドンのシリーズ小説は、発売前からベストセラーが保証されるほどの人気を誇り、本作原作「インフェルノ」の世界同時発売に向け、情報漏えいを防ぐため、各国の翻訳家たちを秘密の地下室に隔離し翻訳を行ったという逸話をもとに、ミステリー映画『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2018)が製作されている。
・また、ラングドンが登場する小説のうち、フリーメイソンの謎に挑む「ロスト・シンボル」と、ガウディの暗号と人類の始まりを描いた「オリジン」の映画化企画は具体化していない模様であるが、映画シリーズ監督のロン・ハワードは意欲十分にて、吉報を待ちたいところ。

③結び…本作の見処は?
◎: 前作に続き、本作も作品舞台であるフィレンツェ、ヴェネツィア、イスタンブールの歴史建造物や芸術作品の映像価値は素晴らしく高い。
○:『アベンジャーズ インフィニティーウォー』のサノスと同じテロ動機や、新型コロナウイルスに苦闘するWHOなど、現在の情勢に合致した作品テーマはまさにタイムリー。
○: 一時的に記憶喪失となったラングドンの記憶に対するフラッシュバックシーンは、映画の教科書のような丁寧な演出。
▲: 原作の欠点に由来しているだろうが、ダンテとテロ行為を結び付ける理由に、映画化シリーズ作中で最も無理を感じる。
▲: 本作のオマール・シー演じるキャラクターもクズ役。「最強のふたり」で見られた彼のスター性はいずこに?
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