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ワンダーウーマンのYYamadaのレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)
3.8
【DCエクステンデッド・ユニバース】
 ④ワンダーウーマン(2017)

◆登場ヒーロー
 ワンダーウーマン
◆ヴェラン:
 ・軍神アレス
 ・ドクターポイズン
◆ミッション:
 ・第一次大戦「西部戦線」抑圧
 ・軍神アレスの討伐

〈見処〉
①DCユニバースの反転攻勢!
 大ヒット・アクション大作
・『ワンダーウーマン』は、2017年に製作された「DCエクステンデッド・ユニバース」第4作。
・舞台は、20世紀前半。女性だけが住む島、セミッシラで育ったアマゾン族の王女ダイアナ(ガル・ガドット)。一族最強の者しか持てないと言われる剣に憧れ、強くなるための修行に励む彼女は、その中で自身の秘められた能力に気付く。
・ある日、島に不時着したパイロットのスティーブ(クリス・パインとの出会いで、初めて男という存在を目にしたダイアナの運命は一転。第一次大戦下の争いを止めるべく、スティーブとともに島を出てロンドンへと旅立つ…。

②ワンダーウーマンとフェミニズム
・本作の監督は『モンスター』(2003)にて、シャーリーズ・セロンにアカデミー受賞をもたらしたパティ・ジェンキンス。本作にて、ジェンキンスはアメコミ映画初の女性監督となり、また本作は「女性監督」「女性主演のヒーロー映画」にて歴代No.1のヒット作品となる。
・また、本作公開前年となる2016年12月には、国連は女性地位向上の象徴として、ワンダーウーマンを名誉大使に任命したが、「女性を物扱いしている」「ピンナップガールの典型」と抗議が寄せられ、わすが2カ月でワンダーウーマンは名誉大使の職から解任されていたが、このような背景から、本作公開後に「ワンダーウーマンはフェミニズム映画なのか」という論争に発展。
・フェミニズムとは、女性が性差別に影響されず平等な権利を行使できる社会実現を目的とした「女性解放思想・運動」。本作なフェミニズム論争に対して『ターミネーター』『エイリアン2』『タイタニック』にて強いヒロインを描いてきたジェームズ・キャメロンが論評。「サラ・コナーは美の象徴ではなかったが、その純粋な勇気が観客の尊敬を勝ち取った」が、「ワンダーウーマンは“物”とみなされる女性の象徴で、男性優位のハリウッドがやってきたことをまたやっただけ」「ハリウッドが『ワンダーウーマン』を賞賛しているのは見当違い」と痛烈な批判。
・キャメロン監督のこのコメントに、本作監督ねかジェンキンスは「女性も男性主人公と同様に、何にでもなれるべき。この映画をヒットさせてくれた女性の観客は、彼女たち自身で進化の象徴を選び、判断することができる」とメッセージを発信し、多くの女性から賛同を浴びた。
・ちなみにワンダーウーマンは、1941年に心理学者のウィリアム・モールトン・マーストンと、妻エリザベス、友人女性オリーヴ・バーンの3人による人権思想から生まれたキャラクターとして、フェミニズムの影響を受けているが、これらはルーク・エヴァンズ主演の『ワンダーウーマンとマーストン教授の秘密』(2017)で描かれているそうだ。(未鑑賞)。

③結び…本作の見処は?
終盤の戦闘シーンが少々散漫に感じるが、力強さと美しさを兼ね備えたヒロインを丁寧に描写した、DCシネマの好事例。
◎: 強くて美しくなければならないワンダーウーマンにはガル・ガドット以外あり得ないほど、完璧なキャスティング。無垢な性格と、母国イスラエルの兵役経験に裏付けされた戦闘力の双方を高いレベルでクリア出来ている。その魅力は女性ヒーローのライバル『キャプテン・マーベル』に圧勝 。
○: ワンダーウーマンの「長寿」特性を生かし、第一次大戦下を本作の舞台としたことで、戦争の陰鬱さが彼女の人物形成に繋げたのが良い。第二次大戦下を描いた『キャプテンアメリカ』よりも時代考証にも勝る。
○: ストップ&ゴーのアクションシーンとテーマ曲の相乗効果は素晴らしい。
○: クリス・パイン扮するスティーブとワンダーウーマンは、アメコミ屈指のナイス・カップル。
▲: ガル・ガドットを性的な対象とする描写が少ないだけでも、女性の地位向上がなされたのかもしれないが、フェミニズム論争が巻き起こる理由がわからないほど、普通の娯楽作品。
▲: 終盤のバトルに至るまでが長く、退屈な場面あり。
▲: DCユニバース映画の特徴「ヴェランに魅力なし」「女優の魅力が作品質を上回る」「意味なく長い」を本作も打破出来ておらず。
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