140字プロレス鶴見辰吾ジラ

インデペンデンス・デイ:リサージェンスの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

1.0
アメリカvs虚構

いや、むしろ”虚構vs虚構”と呼ぶべきか…

20年の時を経て続編の予告が公開されたそのときに、確かに胸は高鳴った…しかし何故だ?そこに理念を感じなかった。何故にここまで理念を感じて取れないのか?

それはきっと、私が前作の「インディペンデンスデイ」で描かれていた虚構vs現実に憧れたからだろうと思う。

日常がある日、成す術がなく制圧されていくことに”虚構”たる興奮があり、それに対して”現実”で反抗しようとする行為に胸が高鳴るのだと思う。

前作では巨大UFOの攻撃による爆炎に飲み込まれていく大都市に恐怖し、立ち向かう現代兵器、戦闘機の編隊が格好良く、エリア51の存在に驚愕し、クライマックスの大統領演説と出撃、農夫の勇気ある決断に胸が震え、涙を流し、そして歓喜した…
”現実”が”虚構”に打ち勝つ勇気を貰ったと思っていた…

しかし何だこれは!?
予告で飛行シーンの映る戦闘機の未来図は?月面基地は?ビーム兵器は?
これでは”虚構”vs”虚構”ではないか?
現代兵器による抗いが見たかった。

「戦争が技術を進歩させる」とよく言うがこれでは”現実”側に愛がない。虚勢でも張っているのか?
私が見たい、私が祝いたい”独立記念日”は人間賛歌なんだ…

何故だ?
何故無駄に人が死ぬ
エメリッヒよ…貴様はサイコパスか?
そして何故に犠牲になった者の尊厳を見えないほどちっぽけにする?
「観光地が台無しだ」…
人の命より重いのか?
何故無駄に人が死んでいく?

生類憐みの令を発令させたい気分だ。

それでは商売道具の大破壊はどうだ?超巨大UFOはどうだ?
強引だ!雑だ!これではレイプだ!
危機が迫ったかと思えば、次のフェイズでは力にモノを言わせ根こそぎ大地をひん剥いて、グチャグチャにする。迫り来る恐怖のワクワク感はどうした?前戯もなしに多勢を逝かせたのか?
デカいならいいのか?
それなら柳瀬早紀でも拝んでろ!
愛は其処にあったか?


それでも楽しくなかったわけではないです。
戦闘シーンや続編としての前作からのキャラのその後が描かれた意義、アメリカ万歳映画としての馬鹿馬鹿しい楽しさはありました。特にスクールバスと父親と息子の関係が交差するまでの流れは、名探偵コナンの劇場版でのコナンくんと少年探偵団の関係のようで、絶望の中にある滑稽な日常の残り香になってました。クライマックスのテーマ曲のヒット、最後の「エイリアンを〜」のセリフにワクワクしました。
続編があったら見に行きますよ。

しかし、愛を感じられなかったことが悔しかったです。

映画に愛が欲しいです。純愛が欲しいのだと思います。続編が製作されるなら一緒に逝かせてください。

映画が好きだから
今作は年間ワーストです。




それと今作には
ローランド・エメリッヒvs樋口真嗣が裏テーマだったでしょうか?

「インディペンデンスデイリサージェンス」
vs
「シン・ゴジラ」
を感じました。

ID4Rの日本語吹替版が、「シン・ゴジラ」監督の庵野秀明を意識したのか、エヴァンゲリオンのキャストを多く起用したのが対抗心なのか?煽りなのか?IMAX上映の目配せなのかはわかりませんが…
エメリッヒvs樋口真嗣の対決は見モノかと思います。

あと、マイカ・モンローのタンクトップ姿が見られた!ただ見られただけでなく、軍服を脱ぎ捨て、闘いに傷ついたエッセンスの演出つきとは最高なり!