ryosuke

ウイークエンドのryosukeのレビュー・感想・評価

ウイークエンド(1967年製作の映画)
4.5
@ゴーモン映画祭 ジャックアンドベティってちょっと劇場内が明るすぎるな。
横スクロールの階級闘争。延々と続く横方向長回しの中で異常なものが流れてきては過ぎ去って行く。 主役の中産階級夫妻は全く好印象を抱きようがなく、暴力が無造作に撒き散らされる。
後半言葉数が多くなってから映像の強度が若干落ちたのは残念だが、特に前半の爆発的なエネルギーは凄まじく、ドタバタしたアクションの魅力が凝縮されている。 ひねたユーモアセンスも素敵。
360度ぐるぐる回る撮影などストローブ=ユイレを思い出したりもするが、ゴダール映画はとにかく饒舌。
ドラムを叩くゲリラを映した後にカメラが上昇して池の画になるシーンはやはり印象的。
セリフで延々イデオロギーを語るのが無ければなあとも思うが、被写体と発話者のズレや、発話内容に合わせて前のシーンが再び挿入される等やはり映像自体に攻めの姿勢があるのは好印象。 既存の体制を破壊するイデオロギーと映画の標準的な規範の破壊が呼応するようである。名作映画のタイトルで呼び合う意味不明なゲリラも嫌いにはなれないな。
延々続く渋滞の長回しとやかましいクラクションはとにかく楽しい。 いつまで続くのかと思わせたところでサッと示される渋滞の原因、という描写が鮮烈。
大量の羊や、コマのズレと共に炎上する車体も強烈。 映画内では自動車は燃えてこそだな。
フロントミラーの上に反射する光景が滑っていく様も印象に残る。
いつも通りメタ演出も冴えている。 登場人物はこれが映画だと知っており、不自然でも伴奏のドラムは画面に登場する。「つなぎ間違い」なんて字幕も入れてしまう。
メタレベルの描写の挿入等々によって観客の没入を阻害することは、強烈なイデオロギー性のある作品をプロパガンダ映画とは一線を画したものにする効果があるように思える。
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