シネマノ

ラ・ラ・ランドのシネマノのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.9
公開前なので多くは語らない。
今年のベスト、来年の傑作なんてレベルに収まらない極上の出来。
ミアは女優、セバスチャンはジャズの店、愚直に夢を追いかける2人のラブストーリー。
映画が持つ普遍的な魅力、憧れてしまうような魔法的ロマンス、人が夢を追う姿の普遍的な美しさを描く。

開始直後だけで拍手を送りたいほど完璧な演出による出だしからノックアウト。
どれもがたまらないミュージカル演出の数々、観客の感情を全て内包し、揺さぶるシンプルながら、完璧な脚本。
それら全てを完璧に体現したエマ・ストーンの演技には脱帽。ライアン・ゴズリングもさすがの演技をみせる。ゴズリングはこのためにジャズピアノを猛特訓し、夢追い人という設定とマッチ。
この2人に何度笑って泣いて鳥肌がたったことか。自分史上に残る名カップルの誕生。

デビュー作「セッション」で、音楽やジャズに対する愛を全く感じさせず、映画の常識を逸脱しつつ全く新しい傑作音楽映画を叩きつけたデミアン・チャゼルが、こんなにも甘美で夢に溢れた作品を生むなんて。まさに今年の傑作のひとつ「シング・ストリート」を生んだジョン・カーニーのような、音楽と夢への愛に満ちた作品。
鬼才から天才へ、異彩から輝きへ、若干31歳、まだ2作目で世界の頂点に登りつめた彼は今後どうなってしまうのだろうと嬉しい疑問。

これぞ映画が持ち、永遠に変わることのない魅力なんだとつくづく実感させられること間違いなし。
絶賛を浴びるであろう終盤の演出から、最後の1秒まで、もっと観ていたい、この世界に浸っていたいと魔法にかけられる。
今すぐにでももう一度観たいし、観た瞬間に心は「ラ・ラ・ランド」に連れていかれる。
賞レースをどこまで席巻するのか楽しみ。

若い人には夢を追いかける美しさ、年配の大人には忘れかけていた夢の美しさを思い出させる、年齢関係なしに多くの人の心を揺さぶり、受け入れられる一作。
シネマノ

シネマノ