このレビューはネタバレを含みます
中国深圳で実際に起こった事件を基に作られた作品。ヴィッキーチャオがすっぴん姿で死んだ夫が誘拐してきた子供と知らず自分のことして育てる母親を熱演しています。
実際問題、一人っ子政策のひずみを表してるような作品だと思います。ちょっと目を離したすきに我が子が誘拐されて、この主人公の子供は帰ってきたれど、多くの子供たちは人身売買で国内外に売られたり、下手すると臓器売買の対象になることもあるでしょう。
必死で探す父親をカモにしようとお金を要求して奪い取とってやろうとする人たちもいます。ようやくここ数年で一人っ子政策の緩和もされてきていますが、だからと言って子供をいつか取り戻そうと頑張る親御さんたちの慰めにも代わりになるものでもないわけでとても切ない。再会できた仲間を喜ぶ半面、嫉妬や妬みもあったりしてそれも包み隠すことなく表現しているところはピーターチャンらしいな思いました。
まだまだ農村と都会、経済成長と貧困、共産主義的な警察含めいろんな問題が山積している部分もイライラハラハラしながら見ることとなるけれど、映画は最後に少しだけ苦しんだ人たちに希望の明かりが差し込むような終わり方で良かったなと。結局一番悪いのは子供を連れ去ってさっさと死んだ種なしの夫ということだった。
1年に1度は行く馴染みの街での出来事。でもあの街なら無くはないなと思ってしまうのもなんだかなんだなぁ。
