オシリー

キル・ビル Vol.1のオシリーのレビュー・感想・評価

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)
5.0
『キルビル』
星5.0
興奮しました。めちゃくちゃ胸が踊りました。B級映画の最高峰をここにみた気がします。現実とはかけ離れた、外国人が想像しそうな日本、が散見される本作ですが、それはいわゆる和的なものからカッコよさ、面白さだけを抽出する試みなのだと思います。武士道、日本刀、アニメによる演出、板前、ヤクザ、日本庭園…どれを取っても外国人が想像しそうな、しかもある種「クール」さを持ったイメージです。我々日本人からすると、やはり違和感を感じますが、しかしそれでいて拒否感はありません。この映画がやろうとしていることは、カッコよさ、クールさの観念、理想に形を与えることだと理解するからです。そしてそれは、現代版時代劇の形をとって現れます。お腹の子どもや結婚式の参加者を殺され、自身も殺されかけた主人公は復讐を誓い、アイコニックな服装を纏い、刀と身一本で強敵に立ち向かう。これも実にわかりやすく、カッコいい。アクションシーンのアクロバットでリズミカルな動きや大げさな血しぶき、襲いくる無数の敵との殺陣、一対一の鬼気迫る空気などは、「こんなバトルがあったらカッコいい」の理想を叶えてくれたように感じました。そしてやはりこの映画で注目すべきは音でしょう。場面場面に流れるBGMは非常に印象的で、映像とリンクしており、みるものにまで及びます。それが引き起こす気持ちのいい興奮は、肌を粟立たせ、脳を痺れさせるのです。この映画から受けるテンポのよさという印象も、音によるものだと考えます。強調された効果音やうめき声、鹿おどしの音も、その場面をより印象深くするのに一役買っていると思いました。まとめると、キルビルはイメージの持つ力を使って、観念的なカッコよさを追い求め、それを本気でやり遂げた映画なのかなと思いました。だからあんなに現実とかけ離れているのに説得力がある。あとオーレン石井のビジュアルとかが好みすぎてふつうに興奮しました。めっちゃ面白かったです。
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