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キル・ビル Vol.1のYYamadaのレビュー・感想・評価

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)
3.7
【監督クエンティン・タランティーノ】
第4回監督作品①
◆ジャンル:  
 ハード・バイオレンス
◆タランティーノ肩書:
 監督、脚本、出演

〈見処〉
①タランティーノ復活の監督作
・『キル・ビル』は2003年に公開された、タランティーノ6年ぶりの監督作。前作『ジャッキ-・ブラウン』で「ニガー」が連発することをスパイク・リーに批判され、監督業に嫌気が差していたとの説の真偽は不明。
・ストーリーは、元殺し屋「ザ・ブライド(ユマ・サーマン)」は、かつてのボス「ビル」と配下の殺し屋4名から、自身の結婚式にて襲撃を受け、婚約者や参列者は殺害、彼女も凄惨なリンチにより胎内の子を奪われ、昏睡状態に陥る。4年後に昏睡から目覚めたザ・ブライドは、ビルと4人の殺し屋に対する復讐に動く…
・前監督作までは復古的な演出手法のなか、斬新かつ先進性が評価されてきたタランティーノであるが、本作はB級テイスト溢れるハード・バイオレンスで、初のアクション作、芸術性の欠片もない。
・長尺となった本作は二部作に分割され、『Vol.1』はアメリカ、沖縄・東京が舞台に。香港・日本映画テイストの強い作風となっている。
・血飛沫が飛び散る殺陣、『鬼警部アイアンサイド』など誰もが耳にしたことがある劇中挿入曲、アニメだけのチャプター、クサい台詞と演出。「映画」って、こんなに直感的に制作していいのだと気付かされる。
・タランティーノ作品でもっともバイオレンスと娯楽描写に溢れ、彼のB級映画に対するオタク愛の本性が明らかにされた一作。

②「トンデモ・ジャパン」No.1作品
・本作の舞台が日本(沖縄・東京)のこともあり、千葉真一や國村隼、栗原千明など日本人俳優が多数出演。
・千葉真一のオーバーアクション演技、ヤクザ界の女将「オーレン石井」演じるルーシーリューの拙い日本語(ヤッチマイナァ!)、低頭平身な日本人の接客スタイルはまさにハリウッド映画のなかの日本「トンデモ・ジャパン」そのもの。
・しかしながら、舞台セットはなかなか本格的。料亭の店内は、居酒屋「権八」風でなかなか良いし、クライマックスの雪が積もった日本庭園におけるザブライドとオーレン石井の戦いのバックには「鹿威し」がみられ、なかなか本格的。
・「トンデモ・ジャパン」歴代No.1作品と認定したい。
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