「サウルの息子」観ました。
悍ましく恐ろしい時代の話です。ほんとうに。ぼく自身の生活とは掛け離れ過ぎてて現実味はないのだけど、今も何処かの国では厳しい環境の中で必死に生きてる人達がいるのだろうけど......。
すべての人が平和に暮らせる日なんて来ないんだろうなと思わせる映画。
99.99%の絶望で満ちた世界の映画。
残された0.01%は、唯一の救いは、サウルが見せてくれた3度の「あの」表情。
終始、薄暗い塹壕のシーンで、ほかの方が書かれてるように、サウルから1mないし2mほどの距離を追ったカメラワークなのも手伝って、気持ちがだんだん参ってくるというか、観てて疲れてくるようなとこもあるんですが、でもそこにある圧迫感や閉塞感こそがこの映画の深い闇の部分であり、だからこそサウルが見せた3度の「あの」表情が光輝き、カタルシスとして印象強く残るんだろうなあと思ったりしました。
ただ、こんなにまで、本当にこんなにまでサウルをそこへ突き動かした動機や背景が実はまったく描かれてなくて、一歩間違えれば(あ、この人は子ども好きな人なんかな)と、軽めの誤解すら与えるのではなかろうかとも思いました。
良心の呵責なんていう生易しい言葉では説明がつかないぐらい、そのぐらい悲惨な時代の話でした。