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ロブスターのkuuのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.8
『ロブスター』
原題 The Lobster  映倫区分 R15+
製作年 2015年。上映時間 118分。
劇場公開日 2016年3月5日。
ギリシャのヨルゴス・ランティモス監督が、コリン・ファレル(コリン・ファレルは今作品での役作りのために18㎏増量したそうっす。どおりで、チョイ醜いとおもた)、レイチェル・ワイズら豪華キャストを迎えて手がけた、自身初の英語作品。
アイルランド・イギリス・ギリシャ・フランス・オランダ・アメリカ合作。
2015年・第68回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。

独身者は身柄を確保されてホテルに送り込まれ、そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、動物に変えられて森に放たれるという近未来。
独り身のデビッドもホテルへと送られるが、そこで狂気の日常を目の当たりにし、ほどなくして独り者たちが隠れ住む森へと逃げ出す。
デビッドはそこで恋に落ちるが、それは独り者たちのルールに違反する行為だった。

今作品ほど奇妙な映画をあまり見るチャンスはない。
ランティモス監督ファンならそんなこたぁないやろけど。
事実上、インディーズ・アート・ハウス作品である今作品では、どこを見ても不条理だらけで、完全に狂ってて、ほとんど理解不能な世界が展開する。
しかし、信じられないほどユニークで人目を引く作品やし、見ていて好奇心が沸くし意外にも夢中になり面白い。
物語の中心は、コリン・ファレル演じる一人の男が、この奇妙なシステムの一員としてパートナーを見つけようとする姿。
第一幕は、彼が『ホテル』で過ごす時間を中心に展開され、奇妙なだけでなく、また、ドラマチックで狼狽させられるだけでなく、善きダーク・コメディが描かれており、見ていて愉快でした。
今作品はドラマと同じように真剣に物語を描いており、映画から漂う不穏な雰囲気からもそれを感じることができる。
しかし、あまりにも奇妙な映画であるためか、気取ったアート系映画ではできないようなユーモアを交えることで、その奇妙さにうまく入り込むことができた。
そのため、第1幕を通して、大いに楽しむというよりは邪魔されるような笑い方とまではいかなくても、笑えるんは間違いないだろうし(苦笑いも含め)、映画が終わるころには、今作品全体の信じられないほど奇妙な感覚に慣れるに違いない。
今作品がどれほど異例なものかを説明すると、どのシーンもぎこちない沈黙に満ちており、俳優たちはまるで放送中に出演者に見せるための大きなキューカードを読み上げるかのように、何の感情も込めずに話し、映像は終始とても醜く、見ていて不快になる。
それでもなお、今作品が巧みな作品であるという事実を忘れることはできない。
主な理由は、あまりにユニークで、ほとんど衝撃的な奇想天外さでありながら、多くの魅力的なアイデアに満ちていて、この狂気的な物語に完全に引き込まれないわけにはいかないからです。
演技、演出、脚本、ほとんどすべてが巧みやけど、1つだけ大きな問題がある。
第1幕が終わった後、映画はかなり迷走し、冒頭で想像していたよりもさらに奇妙な深淵へと大きく飛躍しそうになり、後半はユーモアが少し減り、第1幕ほど見やすくはない。
しかし、恐怖と相変わらずの奇妙な結末に向けて再び盛り上がっていくので、今作品には比較的、評価は高くつけました。
最初の20分以上この映画に付き合えないと感じる人には向かないんじゃないかな。
とは云え、これは間違いなく時代を超えたカルト映画やと思うし、一般の観客には大ヒットしないかも知れないが個人的には面白かった。
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