ゆーあ

アクアマンのゆーあのレビュー・感想・評価

アクアマン(2018年製作の映画)
4.5
DCEU史上最高の面白さ!

『デッドプール2』でデップーがケーブルを「暗い奴だな、DCから来たのか?」と揶揄しますが、そんな彼も『アクアマン』だけは例外と認めるに違いない、「陽」に振り切ったハイテンションヒーロー映画。時系列は主人公の初登場作となる『ジャスティス・リーグ』の後ですが、オリジンとして完結した物語なので、ユニバースの他作品を全く観ていなくても知識ゼロで楽しめる娯楽大作です。実際バットマンの「バ」の字もでてこない。もしジャスティスリーグにグループLINEがあったら、たぶんステッペンウルフ事件の後全く動いてないね。「またこのメンツで世界救いたいね」って、バットマンしか思ってないですから。あのチーム。

さて『アクアマン』の特筆すべき面白さは、なんといってもアクションヒーロー映画であると同時に、『インディ・ジョーンズ』や『センター・オブ・ジ・アース』のような冒険映画だということです!物語の大筋は、海底国アトランティスの王の血を受け継ぎながらも、地上で灯台守の父と暮らしつつボランティアで海難救助活動を行っているアーサーが、王権に固執する異父弟に命を狙われたことをきっかけに、海と地上の平和を護りその懸け橋となる真のヒーローに目覚める―という王道中の王道。しかしその過程で伝説の武器トライデントを手に入れるために世界の様々な場所を訪れる展開がとっても楽しい!地上を知らないお姫様のメラがちょっとハズれた行動をするシチリアは、まるで『ローマの休日』のように愛らしくてロマンチックだし、砂漠の遺跡で謎を解いてアイテムを手に入れたり、異形の化け物が救う闇の海溝や、それを抜けた先にあるモンハンのようなジャングルの秘境、そして未知の巨大生物が護る伝説の武器の隠し場所…。めくるめいて変わるステージに一瞬たりとも飽きないのはもちろん、このユニバースには私たちがまだ知らないたっくさんの世界があるのだと知れて、興奮とともにとてもワクワクしました。MCUの歴史的成功以来爆発的に増えたヒーロー映画は、その個性付けのためにサスペンスやホラーなどの異ジャンルと組み合わされることがあるけど、冒険映画とくっついたのって何気に珍しいかもしれない。シチリアでメラが花束を食べちゃったのを見て、注意するのではなく自分も口に放り込むアーサー、イケメンだなあ~~とキュンキュンしましたね。

このヒーロー映画×冒険映画のコラボレーションをド派手に飾るのが、独創的なアクションシーン!いやうん、本当にド派手。シリアスな軍事会議やロマンチックなシーンが一定時間以上続くと突如壁が爆破されてアクションシーンが始まる。これがマジで20分に1回起こる。青空の下、シチリアの丘の上でアーサーとメラの唇が近づいた瞬間、周囲が爆発したのはさすがに笑ったwww絶対にまだチューさせねえ!という気概を感じたね。しかしようやく訪れたキスシーンは「え?!!?今?!?」てとこなのでもう感性が分かんねえな!さて『アクアマン』はその名の通り水中バトルが最大の見せ場なのですが、水圧を味方につけた衝撃波やスロー演出がドラマチックさ増し増し!普通なら「エフェクトかけすぎ!」と食傷気味になるこれらも、水中ならば説得力があり自然に見える。あと相手の攻撃を食らって360度きりもみになって吹っ飛ぶ様をカメラがぐーるぐる追いかける映像は、まるでドラム式洗濯機!『アクアマン』はカメラワークが本当に上手くて、地上戦でもアトランナが家を襲撃してきた兵を三叉鉾でなぎ倒したり、シチリアでメラが屋根の上を走りまわって追撃をかわす長回しはまばたきがもったいないくらい気持ちいい。特にシチリアで敵がアパートの壁をぶち破っていろんな人の部屋を通過しながら走り抜けるFPS視点のカメラワークは、コミカルで情報量が多くてお気に入り!

ところでDCEU映画といえばやたら劇的なキャラクターカットが特徴ですが、ザック・スナイダー節ともいえるソレは『アクアマン』でもしっかり踏襲されています。最終決戦で甲板の上の鎌のようなプロペラをバックにオームのマントが翻る様なんて、ファイナルファンタジーのムービーを見てるようだった。

宿敵ブラックマンタの、同情と感情移入を誘うに充分な人生背景の匂わせ方も絶妙でした。オリジンとして完結した物語でありながらも、キャラクター単独作としての続きを期待させる。良い意味でユニバースを意識しすぎない造りが『アクアマン』の成功要因の1つではないかと思います。この舵取りなら、今後のDCEUも大船に乗った気持ちで楽しみにしたいな!
ゆーあ

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