ゆーあ

ディヴァイン・フューリー/使者のゆーあのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

감사합니다(ありがとうございます)…최고예요(最高です)…

「右手に聖なる力が宿った格闘家が、ベテラン神父とバディを組んで悪魔祓いをしながら、闇の司祭を倒す」

こんな好きな単語だけで構成されたあらすじある???

主人公であり総合格闘家のヨンフは、もともと敬虔なキリスト教徒の家に生まれましたが、両親を失うという経験から神を憎悪しています。そんな彼の右手の平に突然深い傷ができ、悪夢とともに流血が止まらなくなります。格闘家としての選手生命を危ぶんだ彼は祈祷師に相談し、それをきっかけにアン神父と出会います。バチカンから派遣されたベテランエクソシストのアン神父は、ヨンフの傷を「聖痕」だと説明。自らに悪魔を退治する力があることを知ったヨンフは、信仰を否定する心と葛藤しながら、アン神父とともに悪魔との闘いに身を投じます。

悪魔に憑かれた被害者たちの調査をするうち、その元凶は悪魔崇拝者である闇の司祭であることが判明。巨悪の背中まであと一歩に迫ったとき、アン神父は強力な悪魔憑きとの激闘に倒れてしまいます。神への憎悪を消せないまま、しかしアン神父への敬愛と自らの力への使命感を抱き、単身ラスボスのもとへ向かいます。

ここからですよ。

ここから「こういうの好き~~~!!」の特盛わんこそばがスタートします。

闇の司祭との対決を決意したヨンフに、防具としてアン神父の祭服が贈られます。信仰心を捨てた主人公が、師の意志を継ぎ聖なる衣装に袖を通す…これ、マーベル作品ならヒーローのテーマソングが流れるシーンです。その祭服の上にライダースジャケットを羽織り、バイクに跨って敵の本拠地(クラブ)にカチこむ。この1文だけで完璧な甘辛コーデが完成しています。クラブの敷地に入った瞬間、悪魔の眷属となった司祭の手下に取り囲まれるヨンフ。聖水もなく、聖書も暗唱できないヨンフの悪魔祓いの方法は…真正面からブン殴る!!聖なる炎に包まれた拳を敵の顔面に叩き込み、そのまま頭をわしづかみして「破ァ!!」総合格闘技チャンピオンという設定を生かしたスタイリッシュエクソシズム大乱闘は、まさにこのあらすじから期待してた光景!
手下をなぎ倒し、たどり着いた地下室に待ち受ける闇の司祭。この司祭がまたセクシーなんです!蛇のような冷たい目線と陶器のような肌。表向きはクラブを経営するやり手社長ですが、その裏で悪魔憑きにした若者を贄に自らの若さを保つ悪魔崇拝者です。その儀式の場になっている地下室にヨンフが足を踏み入れたと同時に、悪魔との融合を果たした司祭は、ワニのようなうろこと爪をもつ怪物になります。この姿になると、ヨンフが攻撃してもほとんどダメージが入らない!防戦一方の結果、倒れてしまうヨンフ。茫漠とした生死の境で、彼は亡き父の姿を幻視します。「お前を誇りに思う」と父がヨンフの手を取った瞬間、まばゆい光が流れ込み…復活&パワーアップ!!バフ効果で右手の炎が大きくなり、文字通り、俺のこの手が光ってうなる!お前を倒せと轟き叫ぶ!!スタイリッシュ×オカルト×格闘バトルにこの激アツ確変演出、粋としか言いようがありません。

そんな体の奥から燃え上がる映画ですが、ジャンルは「ホラー映画」なので(多分)怖いシーンはしっかり怖いです。先述のクライマックスシーンは誰しも熱くなれるはずですが、それまでは、ホラーが苦手と自覚している人なら、たぶん『来る』より耐えられないと思います。特に悪魔憑きになった孤児院の男の子が秀逸でした。威嚇、聖水や呪文で苦しむ顔や動きは元祖『エクソシスト』のリーガンや『哭声』の娘もかくや。一方でびっくり演出や雰囲気で怖がらせることは少なく、「エクソシスト系ホラー映画としてやったろがい!」という一本気を感じます。

エクソシストということで、キリスト教をテーマにしていますが、作品の根底には儒教の思想が流れているように感じました。『神と共に』でも思ったけれど、韓国の根本的な宗教観なのかしら? (儒教については全然詳しくないけど…) 聖なる力を得るきっかけになった実父との思い出はもちろん、アン神父とヨンフの関係にも「父親への敬愛」を深く感じました。特に際立っていたのが、悪魔との一戦を終えてヨンフの家で一緒に晩酌をしている際、「せっかくだから部屋の除霊をしてくれ」と頼むヨンフに対し、アン神父が「酔っているから今日はできない~~」とふにゃふにゃしながら言うシーン。(疑似)親子の団欒シーンで、「親が子に甘える」というのが、フィクションとしては新鮮で、かつ大人同士の関係としてはとてもリアルで良かったです。アン神父は体中に傷跡のある歴戦のエクソシストですが、やさしくくたびれた雰囲気があって、「まったくしょうがないなあ~」とこちらが破顔してしまう可愛さがあるんですよね。

アン神父の見習い神父くんも良かったです。一度は悪魔祓いの過酷さを目の当たりにして逃げだしたものの、終盤では夜を徹してアン神父の回復を祈る様に、生来の善人である印象を抱きました。バディものは主役の2人のみにスポットライトがあたりがちだけど、彼の成長もしっかり描かれている点に作品の奥行きを感じました。瀕死の重傷を負ったアン神父が、自分を救える人間として真っ先に名をあげるような人物なのだから、もともとポテンシャルは高いんでしょうね。

名実ともにバディ・エクソシストとなったヨンフとアン神父。次回はバチカン編、スタート!と思いきや、続編は見習い神父くんが主人公になるかもなのね!さすが今を時めくチェ・ウシク!そりゃあ成長も描かれるわ!(笑)今作ではヨンフの「格闘エクソシスト」というキャラ付けが作品の異端児性を際立たせていたけど、次は王道エクソシズムになっちゃうのかしら…と思うけど、その予想できなさも含めて、シリーズ化が楽しみです!
ゆーあ

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