ゆーあ

ゴジラvsコングのゆーあのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

いやー日本公開まで長かったですねえ。ゴジラとコングが喧嘩できない国で、何がオリンピックだよと思ったもん。さて今「喧嘩」という言葉を用いましたが、この作品のジャンルは間違いなく

ヤンキー映画

アタマとアタマがぶつかり合い、拳で語り認め合う、私が大好きなヤツ!
そもそも何故この二匹が闘うのか?その辺の説明ですが、登場人物の「二匹は宿敵よ」という一言、そして「それぞれ他の怪獣を倒してトーナメントの頂点に勝ち上がった最強同士」である旨を簡潔に図示するオープニング映像。以上!ようするに経緯は特にない!目と目があったら怪獣バトル!モメんのに理由なんているかよ!

ということで、シンプルな怪獣大戦争だった前作のKOMに対し、今作はストーリーというか、人間模様?怪獣模様?が濃厚に描かれているように感じました。もともと話せばわかる人(怪獣)だったコングはもちろん、ゴジラすら、その鳴き声で何を言っているかが明確に理解できる。また互いに主役級のアタマ同士がぶつかるヤンキー映画では、その勝敗によってどちらかの格が落ちることは無粋の極みですが、その辺の処理も非常にうまくできていました。

ストーリーは、基本的にコング側とゴジラ側の二軸で進行します。
コング側の物語は、巨大テクノロジー企業のエイペックス社が、元モナーク職員のネイサンの元を訪れるところから始まります。小栗旬演じる芹沢蓮が所属する同社の、ネイサンに対する依頼は、ゴジラ討伐兵器に使用するエネルギー源を地底深くから持ってくること。地球空洞説に基づくその地底空間は怪獣の故郷「ルーツ」であり、ネイサン一行は(いつの間にかモナークにつかまっていた)コングの力を利用して、その先導のもと目的地へ向かいます。
一方ゴジラ側の物語は、前作のMVPであるマディソンが主人公。冒頭でゴジラが上記エイペックス社を襲撃する様を見た彼女は、何か理由があってのことだと信じ、ネットの陰謀論者と組んで同社に潜入調査を試みます。
エイペックス社を共通項とする二つの物語は、途中洋上で邂逅するものの、基本的には終盤まで平行線で進行します。そして最後、全ての意味が集結した時、ついにアタマ同士のドリームマッチが実現する!!…というのが全体の流れです。

この二つの物語のうち、コングの方がなかなかにトンデモ!!(笑)
いろいろ苦労しながらルーツにたどり着いたコング一行は、その奥地に神殿のような空間を発見します。人工物に見える柱や玉座は、コングの祖先が作ったもので、かつて彼らはここに高度な文明を築いていたのでしょうか?そこで巨大な斧を手に入れ、王の血筋を本能で悟り、堂々と玉座に座すコング、いやコングさん、コング様。髑髏島の守護神「コング」が、文字通り「キングコング」になった瞬間です。まさかこの映画で王位継承冒険譚を観ることになろうとは…。何だかコングがジェイソン・モモアに見えてきたよ!
さて玉座で一息つくコング様がふと足元を見ると、地面が先ほど手に入れた斧の形にくりぬかれています。直感で斧をはめ込むと、たちまち青い光が刃に集まってきました。この置き型充電器の根元にはゴジラの背びれがあり、どうやらこの青い光はゴジラの熱線と同じエネルギーで、これこそエイペックス社が求めていた力でした。一方そのころ地上は香港で大暴れしていたゴジラも、この急速充電の波動を感じ取ります。自分のはるか真下にコングが居ることを悟った彼は、ルーツに向けて熱線を放ちます。その結果できた地上までのブチ抜き直通路を通り、いよいよゴジラとコングが再びあいまみえる!!…ルーツまで、行きは南極まで行って重力反転がどうだのものすごい大変だったけど、帰りメチャクチャ楽で笑った。両者決闘の準備が整ったので、帰り道に尺割いてる場合じゃない感がビシバシ伝わる。そろそろ暴れさせろォ!!!

さあここからがメインイベント!ネオンきらめく香港の100万ドルの夜景をぶっ壊しまくる、熱闘のゴングが響き渡る!!ここで嬉しかったのが、高層ビルにつかまり吠えるコングが見れたこと。元祖エンパイアステートビルに似た天頂に避雷針がついた建物で、制作側の的確なサービス精神を感じました。『~髑髏島の巨神』では舞台がジャングルだったので怪獣というよか巨大な野生動物みが強かったけど、これぞ正しく「あの」キングコングだとテンションが上がりました。
街を破壊しながら取っ組み合う二匹。互いに譲らぬ攻防が続く中、ついに倒れたコングの胸をゴジラが踏みつける!起き上がれないコング!そしてついにゴジラがとどめを~~~
刺さない!そう、勝負がついたら殺しはご法度なのです。それが喧嘩の流儀。「格がちげえんだよ」と踵を返すゴジラを睨み、「てめえ!まだ終わってねえ…ぞ…」(ガクッ)と吠えながら力尽きるコング。この二人、学ラン着てます?
それにしてもコングアックス燃費悪くない?熱線を正面から切り裂いて相殺したらもう終わり?いやそれも相当なパワーだと思うけど…。

さてそんな二匹の魂のやり取りを、かつて鈴蘭高校で一大勢力を築いた小栗旬も放ってはおけないようですね。彼はルーツから持ち帰ったエネルギー塊を使い、ついにゴジラ討伐兵器を完成させます。その名も…メカゴジラ!ここで「ロボットゴジラだ…」と呟くバーニーに対し、ジョシュが「いや…メカゴジラだ」と訂正しますが、その二つのニュアンスってそんな違う?(笑)ともあれこのメカゴジラ、初代日本風のデザインかと思いきやかなり可動域が多く、スタイリッシュでカッコいい。

コントロール不能となり暴走したメカゴジラに、すでにコングとの闘いで消耗しきったゴジラは為すすべなくボコボコにされてしまいます。頼みの綱のコングはすでに虫の息…。そこでひらめいたメイソンは、ルーツへの乗り物である電気自動車をクソデカAEDにして、強烈な電気ショックで彼を蘇生させます。芹沢博士の愛の目覚まし核爆弾といい、喝の入れ方がことごとく大味なんだよなあ~!
かくして復活をとげたコングとゴジラが、共にメカゴジラに立ち向かいます。アタマとアタマの決着がついたら次は何が一番燃えるって、やっぱり共闘だよね~!!そして、最後の力を振り絞ったゴジラの熱線によって再充電された伝説の武器で、見事コングがメカゴジラを完膚なきまでに破壊します。すべてが終わり、崩壊した街を照らす朝日に向かって歩き去るゴジラの、コングに対する最後の咆哮は、まるで「この借りはまた今後な」と言っているよう。対するコングの目線は「…二度とツラぁ見せんな」と苦笑いしているようで…んんんここは香港?!屋上か河原に見えるんだけど!?

ゴジラvsコング自体はゴジラの勝利。そのゴジラを叩きのめしたメカゴジラをコングが倒すことで、タイトルマッチの決着はきちんとつけつつ、しかし強さの格付けは明確にしないやり方がうまいなあと思いました。製作陣の怪獣双方に対する平等で深いリスペクトを感じました。モンスターバースはこれがあるから本当に気持ちよく、面白いのよね!そして今作は何より、ド派手な画面の中でヤンキー映画のお約束を余すところなく堪能できたことが、私はとても楽しかったです。
ゆーあ

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