ゆーあ

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのゆーあのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

夢みたいだった…!

まさか、本当にこんな共演がありうるなんて!

マルチバースの大乱闘スマッシュブラザーズに、歴代の色んなキャラクターが沢山出てくることは予想していたけど、まさかそのなかで一番驚いたのが

この世界の隣町に普通に住んでる、盲目の弁護士だなんて!!

大げさでなく涙が出るほど嬉しかった!!正直、ネトフリドラマ組が映画に出てくることはないと思っていました。同じ世界線なのだからと、ずっとクロスオーバーを望んでいたけど、いわゆる大人の事情で無理だと諦めていた。だからこんなに自然に、弁護士マット・マードックとして登場するなんて…。レーダーセンスもみせてくれたし!!MCUを追い続けてきて本当によかった!
いわゆるディフェンダーズは、アベンジャーズに対しては限りなく一般市民と同じ目線(自分たちには関係ない、テレビの向こうの有名人)だけど、自身もヒーローと弁護士の二重生活に苦しむマットは、マスコミに追われる近所の少年であるピーターに、ひときわ心を砕いたのかなあと思いました。アベンジャーズの名の下でなくても、華々しい表舞台には出なくても、この街にはほかにもヒーローがいる。マットをスクリーンで観ることで、そんなマーベル世界の広がりを改めて感じることができました。

※ここから3人のスパイダーマンを区別するためそれぞれを俳優名で呼びます。実際の俳優のことを指している文章はありません。

今作はマルチバースがテーマということで、予告からも過去のヴィランが多数登場することで盛り上がっていましたが、やっぱりトビーとアンドリューの登場は全身の血が沸き立ちましたね!そしてそれが単なるファンサービスではなく、きちんと彼らの物語―『スパイダーマン』と『アメイジング・スパイダーマン』のシリーズの救済になっている点に感動しました。特にアンドリューが落下するMJを助けたシーンは涙があふれました。グウェンが遺した「たとえ失敗しても、希望であり続けようとすることが理想の人生だ」という言葉を、ようやく叶えられたような気がして。トビーが、トムホがノーマンをグライダーで刺し殺そうとするのを止めたシーンもそう。あのときの後悔をもう二度と繰り返さない。それは自分のためであり、トムホ=この世界のピーター・パーカーのためでもある。打ち切りになってしまった『アメイジング~』はもちろん、トビーも含めて、過去作の2人のピーターの人生は映画が終わった後も続いていて、彼らの物語はこれからも生き続けるのだなと実感しました。だからこれは「IF」ではなく、正当な続編。つまり『ノー・ウェイ・ホーム』は、『スパイダーマン4』『アメイジング・スパイダーマン3』でもあると感じました。

スパイダーマン三兄弟の可愛らしい掛け合いはもちろんですが、ヴィラン同士の交流が見れたのもとてもワクワクするポイントでした。ノーマンとオットーが共同研究をしたり。特にトビー版『スパイダーマン』のヴィランはみな根っからの悪党ではない点が特長ですが、中でも散り際に科学者としての高潔さを魅せたオットーの本当の優しさがたくさん見れたことが嬉しかったです。スパイダーマン三兄弟との共闘や、トビーに親愛を込めて話しかけるシーンはこみあげるものがありました。ノーマン、オットー、フリント、コナー、マックス…あの時「倒す」しか方法がなかった彼らを「救う」道がある。これぞマルチバースの最高の活かし方!!

『ノー・ウェイ・ホーム』がこれまでのスパイダーマンシリーズの「救済」であるがゆえに、メイおばさんは残念でならないです…。トムホ版ではベンおじさんの代理ポジションはトニーだと思っていたけど…メイおばさんだったのね。「大いなる力には大いなる責任が伴う」―ずっと出てこないなと思っていた名台詞がここで…。

私は「主人公がその存在を忘れられることで世界がリセットされ、平和を取り戻す」エンドが嫌いなのだけど、今作に限ってはそのオチがしっくりきました。もともと自分で蒔いた種であることはもちろんだけど、何よりいつかMCUを離脱しないといけないし。スタークインダストリーの庇護を抜け、まだ殺風景な部屋の窓を開けて一人のヒーローとして夜空に飛び出すスパイダーマンの後ろ姿。トムホにとって『ノー・ウェイ・ホーム』は、キャラクター的にもメタ的にも独り立ちの物語でもあったのだなと気づきました。
だからこそ、彼にも「救済」が訪れてほしい。またMJ、ネッドと三人で笑いあう日が来てほしい。いや必ず来るはず。そんな祈りに似た確信を、クリスマスのドーナツ店の制服からのぞくブラックダリアのネックレスを見て抱きました。
ゆーあ

ゆーあ