ゆーあ

僕のワンダフル・ジャーニーのゆーあのレビュー・感想・評価

3.0

アニマルセラピー…
まず何より可愛い!モフモフに癒されまくりました。

老犬になったベイリー。懐かしい農場の家には同じだけ年をとったイーサン、ハンナ、その娘グロリア、そして孫のCJが暮らしています。グロリアは夫を事故で亡くしたシングルマザーで、そのため心に余裕がなく、いざこざの末CJを連れてイーサンの家から出て行ってしまいます。その失意と不安が癒えないうちに、ベイリーに何度目かの寿命が訪れます。今際のきわ、イーサンはベイリーに「CJを守ってくれ」と言葉を託します。生まれ変わったベイリーは、その言葉を自らの新たな使命として、CJの成長に寄り添い幸せに導くべく奮闘します。

何度も転生を繰り返し、とうとう最後にイーサンと再会できた前作に対し、今作はほぼ常にCJのそばにいるので、ベイリーの目線なんだけれども、CJが物語の主人公に感じました。前作で警察犬として活躍しながらトレーナーの心の隙間を埋めたり、孤独なマヤが家庭を築き幸せになる姿を見届けたりと、イーサンのことを常に考えてはいるけれど、与えられた生を、その時の飼い主と自分のために全力で謳歌するベイリーの純粋さが好きだったので、今作で彼自身の人(犬)生から焦点が外れた点は少し物足りなく感じました。個人的には雑貨店の飼い犬だった時のエピソードももうちょっと見たかったです。とはいえベイリーの人(犬)柄は前作で十分説明されているのだから、同じプロットをなぞっても新鮮味がないかぁ。

グロリアはいわゆる毒親で、家を飛び出したCJはシンガーソングライターを目指しニューヨークで音楽活動を始めます。この間ベイリーは2回ほど生まれ変わるのですが、通算7回目の生を受けたときに、急に「そろそろ気合入れて取り組まなあかんな」と思い、CJの幸福な人生への最短ルートを狙いはじめます。最初に意識を得たとき、ベイリーは公園の保護犬イベントの檻の中でしたが、確実にCJに拾ってもらうべく、「可愛いわね~」と近づいた人の手を噛んで追い払います。その後無事CJに拾ってもらった後は、モラハラ気味の同棲彼氏を追い出そうと試みたり、運命の相手である幼馴染トレントの彼女を敵視したり。ベイリーは元来とても人懐っこい性格ですが、今生の目的のための徹底的なドライさは、何度も転生して初めて「人嫌い」と評されるほど。この何回も繰り返した結果の割り切り感、完全にまどマギのほむら。マミもさやかも言うほど嫌いじゃないけど、まどかを守るためにはお前らに構ってる暇ねーんだわ!さらにベイリーの場合はCJと全く関わりを得られないところで天寿を全うしてしまうと10年くらいブランクができちゃう上に、そこ100%運だからね。必死なのも頷けます。

ところでトレントの彼女は性格悪そうに描かれているけど、そんなこともないと思うんですよね。癌になったトレントを「面倒見れない」と去ったのも、そもそも自分よりずっと関係の長い女性が彼氏の家に居候してるのってすごい嫌じゃない?自分より彼と心が通じてそうな幼馴染って一番怖い存在だし、その子が支えてくれるなら自分はいらなくない?って思うのは当然じゃないかなあ。その後のグロリアと和解する流れも含め、「いいキャラクター」と「わるいキャラクター」が白黒ハッキリ分けられるのは必ずしも爽快ではないけど、パズルのピースが全て正しい位置にはまるように、定められた運命の道筋を歩むCJの姿を見ると、引率するベイリーの無償の愛が報われたようで嬉しくなります。

作中、ベイリーはずっとCJに寄り添い彼女を守ってきたけれど、最後はイーサンと一緒になれたのが本当に良かったです。CJの幸せはイーサンの幸せであり、それがベイリーの幸せ。最後のジャンプで、やっぱりベイリーはイーサンの相棒なんだということが象徴されて、シリーズに一本筋が通ったと思います。一つの生が終わるたび、大好きな背中を追いかけたあの黄金の麦畑で、今度は共に駆ける。それは、イーサンにとっても、ベイリーにとっても、観客にとっても一番見たかった光景なのだと思います。

私は犬を飼ったことがないけれど、それでもいっぱい笑って悲しんで心を揺さぶられたのだから、犬が家族にいる人、いた人は全てのシーンで自分の相棒を思い出して、情感が何千倍にも膨れ上がるだろうと思います。ああ、犬飼いたい!
ゆーあ

ゆーあ