河豚川ポンズ

この世界の片隅にの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.3
とにもかくにもまずは見て欲しい映画。
ずっと見ながら色々と思いを巡らせていたんですが、1回見たぐらいじゃ全然考えがまとまらないし、どんな感想も陳腐に思えてしまいますね…

広島市の江波に住む浦野すずは常に気の抜けたような性格だが絵が得意な少女。
19歳になった昭和19年、すずは呉鎮守府で書記官として働く北條周作のもとに嫁ぐことになる。
気の抜けた性格もあって義理の姉の徑子に叱られ、周作の両親に助けられ、徑子の娘の晴美にも懐かれ、戦争という状況にありながら懸命に北條一家を支えていく。
しかし、やがて軍港である呉にもアメリカの爆撃機による空襲が始まっていくのだった。

すでにいろんなところで「この映画は戦争の悲惨さと日常の尊さを描いたものだ」と言われているので、これについてはもうその通りでいうことはありません。
あらすじを見ればとにかく重くてかわいそうなことが起こる話なんだろうなと思いますが、いざ見てみると思った以上に明るく面を食らってしまいました。
しかしそれがより一層辛いというか、それこそ何もなく一日が終わってみんなでご飯を食べている姿が一番沁みてきます。

すずの声優ののんさんも最初は少し耳につくかなあと感じたのですが、驚くほどに馴染んでいったことにとても驚きました。
元々は漫画原作のこの映画ですが、もうこの声以外では想像できないというくらいにピッタリでした。

ここまで散々褒めちぎっておいてなのですが、自分は随分とひねくれているのでネットで絶賛されているのを見ては、そうは言っても…と思っていました。
しかしそんなことが馬鹿らしく思えるほどに丁寧に、大切に、よく作りこまれた映画なんだなと感じました。
2017年の一本目として見た映画でしたが、変にハードルが上がってしまったのではないかと心配しています。笑