中野量太監督、宮沢りえ主演。
夫は蒸発し、娘・安澄と二人で暮らす双葉。その娘も学校でいじめにあっている。
いじめに対し逃げる安澄に立ち向かうよう説得する双葉。
そんなうちに双葉は病に倒れ、余命宣告を受ける。
双葉は蒸発した夫を探し出し、連れ子である鮎子を含めた奇妙な共同生活が始まる。
とにかく宮沢りえの演技が素晴らしい！
中学生で戦車を乗り回してたあの子がこんなにいい役者になっていたとは。
本作の評判はなんとなく耳にしていたのと、大河・鎌倉殿での演技に惹かれて観たのだが、程よいコメディ要素と、愛情表現とやつれ行く演技。自然と涙が出た。
娘役の杉咲花も後に朝ドラヒロインに選ばれるだけあって存在感があるが、どこにでもいそうな普通感も併せ持ち、複雑なキャラクターを演じている。
夫役のオダギリジョーはダメ男で、こういった役ってオダギリジョーは好んで演じているんだろうな、と。
オダギリジョーの良いところはダメ男でも可愛げがあるところで、どこかコミカルな空気をいつもまとっている。
中野量太監督は本作が商業映画としての長編1本目との事だが、演出も抑え気味で説明的すぎず、きちんと伏線を張って回収する手腕は見事。
この伏線の張り方が物語に興味を持たせ、唐突な展開でもそういう事かと腹堕ちさせられる。
程よいコメディと泣かせる要素、音楽も控えめでお涙頂戴的にもなっていないしバランスが天才的。
久々に良作に出合った。
