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湯を沸かすほどの熱い愛の小のレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
5.0
やられた。号泣した。映画を観て一番泣いたかも。亡くなった人が心に生きるとはこういうことか、と思った。

お父ちゃんが蒸発中で、虐めにあっている高校生の娘と二人暮らしのお母ちゃん。ある日、体調不良で倒れると余命2カ月の末期ガンだった。

そこから立ち上がるお母ちゃん。赤色が大好きな情熱的で熱い愛の心が、残りの命を悔いなく燃やすため、やり残したことをやり尽くそうと決意する。

興信所を使ってお父ちゃんを呼び戻し、家業の銭湯を再開する。娘を励まし、娘は虐めに打ち勝つ。

お母ちゃんもそうだけど、お母ちゃんの周りに集まる人は、普通の人よりも欠けているものが多い人ばかり。そんな人たちが、お母ちゃんの熱い愛にあたためられ、絆を結び、強くなる。

皆の心にはお母ちゃんが生きている。苦しい時は励まされ、辛いときは包んでもらい、怠けたいときは叱られる。

皆、お母ちゃんが好きだから、お母ちゃんを愛しているから、お母ちゃんを悲しませまいと、生きていく。それが、天国のお母ちゃんを一人にしないということじゃないのか。

お母ちゃんにあたためられた家族は、きっとこのあたたかさを一生忘れずに生きていく。それがお母ちゃんを一人にしないということだから。

お母ちゃん役の宮沢りえさん。とても良かった。もともと細いのに、終焉に向けてさらに細くなっていった。いくつもちりばめた伏線をきれいに回収し、それが感動につながる巧みなストーリー。多少甘いところはあるかもしれないけど、物語全体の良さが上回る。

泣きポイントはいくつもあるけど、自分的には終盤間際のお父ちゃんのお願いの件が一番響いた。まさに号泣。

娘に泣けるかどうか観てくるように言われたけどこれは自信を持って勧めます。自分以上に号泣間違いなし。
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