140字プロレス鶴見辰吾ジラ

残穢 住んではいけない部屋の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

3.2
なんて景気の悪い映画なんだ…

冒頭の竹内結子のナレーションから景気の悪いこと。「ランチの女王」時代の竹内結子さんの思い出から今作を見ると、なんでこんなに暗いのだと、なんでみんなボソボソしゃべってるのだと、ジワジワと這い寄る恐怖と謎解きサスペンスなのは興味を引くが、不気味が持続しすぎて、正直しんどい…

ホラー演出として部屋の奥行きと陰の部分の不穏さと、闇の奥に感じる”何か”への恐怖。闇を背にすると感じる、見えざるもの、見えざる空間への不安が、作品の進行とともにジワリジワリと謎の解ける面白さと相反する得体の知れない不穏さとともに纏わりついてくるのは良いですね。

ただみんな暗いし、ボソボソ話していかにもいかにも景気が悪そうで不健康なイメージ。ゆえに疲労感も大きい。

そんな中、結構悠長に呪いと思しきものへと探求欲を止められずに突き進んでしまうあたり、愚かというか?それなら報いの方向性が定まったっていいじゃん!とサスペンス的な興に相応しい熱量が主人公一行に感じられず。いろんなところに飛び火していることに対する不気味さははっせられてるのですが、それがコマーシャル的な域で止まってしまったという印象です。

得体の知れない存在がチープな絵面だったこともありフラッシュポイントに相応しい造形美を感じられません。呪いによって人が変わっていく歴史を紐解くところへの興と不快さが良かっただけに、その不気味さが「そーゆうものだから」とオチに向かってしまったのがどうにも消化不良というか胃に悪い。


エンドロールの使い方が思いの外良く、気を抜けないなと思わせてくれるアフターサービスがあったのは驚き。