140字プロレス鶴見辰吾ジラ

イコライザー2の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

イコライザー2(2018年製作の映画)
3.8
【I am your father 】

ホームセンターで働く男の裏の顔は殺人マシーンだった…
こんなにもロマンがある設定のアクション映画は、マニアには垂涎モノだと思うが、続編が決定すると急にビジネスの匂いが沸き立ち不安が過る。しかし「イコライザー2」は、前作「イコライザー」の哀を纏ったダークヒーローから、迷える者へを救いしダークヒーローへとパワーアップしたのだ。むしろ神懸かりな強さは過言ではなく本当に神の領域に行ってしまったと言っていい。

冒頭のトルコの長距離列車内での誘拐されたとある娘を奪還するシーンで、主人公ロバート・マッコールは宣教師の格好をしている。これがすべてではなかろうか?彼は人智を超えた強さで世に蔓延る悪に鉄槌を降すわけある。

これだけならば簡単なアクションに仕上がるわけだが、本作は前作同様若者の岐路にマッコールが立ち会う。本作はタクシー運転手という様々な人間模様に立ち会う立場となったマッコールのオムニバス形式の必殺仕事人かと思いきや、1人の美術学校に通う青年を麻薬密売のギャング団から引き離し、自立するための仕事を用意し、見守り、そして達成させるのではある。これ以上に導き手として申し分ない活躍を見せながら、本作のメインルートの寄り道として尺を確保した。つまりは導き手となったダークヒーローであるロバート・マッコールを現人神の如く描いている。青年をギャングから引きはなったときのセリフや後光が差す演出は流石に笑ってしまったが…

そしてクライマックスのアクションは本筋に話を戻し、そして冒頭から報じられた嵐が直撃するとともに火蓋が切られる。この嵐はメタ要素なのだろうか?冒頭から着実に嵐の訪れを演出しているのだが、接近が長すぎる。もしやこれはマッコール自身の怒りや力の解放のメタファーではなかろうか?天候すら味方につけたマッコールのマンハントは、もはやホラー映画であり、彼がどこまでもどこまでも人智を超えた存在であり、そして我々が迷わぬようタクシー運転手に姿を変えて導き手としての仕事を全うする神の化身もしくは天使ではないのだろうか?本作は前作はその視点が強かった。そしてフークア監督とデンゼル・ワシントンが真にストリートの青年とそれを取り巻く社会に贈るメッセージであったかもしれない。フークアのストリート出身性を見せつけた、ドラッグの沸き立つ甘さのような調理シーンは忘れ難い。