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或る終焉のwigglingのレビュー・感想・評価

或る終焉(2015年製作の映画)
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前作『父の秘密』を先に観たかったんだけど。このミシェル・フランコ監督、語り口が非常に独特ですね。淡々としているにも程がある。抑揚のない描き方なのに何故か目を離すことができない。もちろん説明的なシーンなどあるはずもなく。

看護師デヴィッド(ティム・ロス)は末期患者を担当しており、それゆえ患者を看取ることも多い。彼の患者への献身は、家族が誤解をしてしまうほどに手厚いもので、それが原因でセクハラで訴えられたりも。
デヴィッドは息子をガンで亡くしており、おそらくそれがきっかけで家族とは別居状態にある。同じように末期状態にあるガン患者の女性を担当するも、化学治療に疲れた彼女は安楽死の幇助をデヴィッドに頼むのだが… というお話。

説明は一切ないんですが、家族と別居するようになった理由が最後に担当する女性との関係から見えてくるんですね。そして、そこからデヴィッドの患者への献身の理由も理解できるようになってくる。おそらく彼は看護師を辞める事はないんだろうとも。
彼は空き時間はほぼジョギングをしているんだけど、それはおそらく逃避行動なのでしょう。なんて悲しい人生…

そして衝撃のラスト。ほんとうに心臓に悪い。初めて観る人は例外なく驚きの声をあげるはず。こんな「うわー」なエンディングは久々だ。
それに続く完全無音のエンドロールでは、人生の意味について考える以外の選択肢を完全に奪われてしまうんだよね。重いわー。

『愛、アムール』のミヒャエル・ハネケに近い作家性の監督なのかなーと。何としても『父の秘密』観てみないと。
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