140字プロレス鶴見辰吾ジラ

バーフバリ 伝説誕生の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)
3.9
”堂々”

インド映画初挑戦は「バーフバリ」に決めた。
現在公開中の「バーフバリ 王の凱旋」の前作にあたる「バーフバリ 伝説誕生」。このウネリのような「バーフバリ」の熱とまだ見ぬインド映画への挑戦として動機は充分だった。

インド映画マナーを知らずに放り込まれた「バーフバリ」の世界は、粗いCGながらRPGのマップ説明のような視点で、ゴールからスタートへと下るカメラワーク。シンプルに逃走と追跡から始まる掴みのシーンとキレの良いアクション。そしてある種物理法則を超越せんとするオカルティックな物腰を恥ずかしげもなく投入する。拾われた赤子は王子だったというファンタジーメソッドをしっかりと下地に、人口密度を利用した画面の賑やかさに加え、バラエティ番組に近い、演者へのクイックズームとオーバーリアクションを武器にトリップゾーンへ誘い、ダンスとミュージカル手法のスパイスの効いたインド映画世界観の流れだしは、まさに”カリー”の国に相応しい、画面上のスパイスの使い方が、世界全体の映画という構図の中から見た、圧倒的ダイナミズムにしてプレミア感。

当然、ミュージカルでも舞台感を用いながらも、人海戦術とミュージカルシーンの入ったところから画面の奥行からなるスペクタクル性が見事にハマっているし、男女の恋愛を魅せる場面も幻想的なリズムとメロディでシルクのように脳内を包んでいくことが分かった。

前半は、女戦士初登場の素晴らしいアクションからバーフバリが半ばコントのように彼女に迫る、正直テンポの悪いシーンが続くも、ストーリーが目的に目を向け、救出と潜入の妙から、激しくビートを刻んで突入する回想シーンの戦争シーンは、今までのテンポの悪さがすべて吹き飛ばされるような大スぺクタクル&戦場ロマン。知恵と工夫の戦術からゴア描写をギリギリ押さえながらも造形ハチャメチャな戦車、そして戦国絵巻の中で、人海戦術で魅せる今作のエモーション部分を大きく乗せた呼応のシーンは鑑賞者サイドにも否応なしに”叫び”を無理なく強要する、ミュージカルの舞台性では表現しえぬ映画性を感じた。そして何よりこれは特撮モノに感じる、いや昭和特撮にも似ているような底抜けの熱量がインドの経済的脚力も踏まえているように愛しく思えた。

常に出生の謎を追い続けエモーションが最高潮に達したところからのクリフハンガーによる次作へのシークエンス。緊張と熱量を高い位置に到達させたのクリフハンガーに思わず唖然。そして熱の矛先を次作での加速の火種にしている点も大きく期待感の高まりというウネリを生み出している。

まだ間に合うか!?
バーフバリに間に合うか!?
走れるか、私!?劇場へ!!