1979年の作品のリメイクということだけど、今の時代にぴったりハマっている。『わたしは、ダニエル・ブレイク』と同質のテーマを、ハリウッドがエンターテインメントにするとこうなったという感じかな。
タイトル通り、80歳を超えるジーサン3人組が、はじめて銀行強盗をする話。社会に強盗されて生活に困っているからその仕返しも兼ねて、というアメリカ国民の多くが共感できる動機だと思う。
当初、調子のよいセールストークに乗せられ住宅ローンを借りたと思われるジーサンの1人は、金利優遇期間が切れたことで返済額が急増し、このままいけば自宅を手放さなければならない状況。さらに3人のジーサンが40年以上勤めていた会社が合併し、年金が打ち切りに。
市場原理に人情はなく、弱者は切り捨てられるだけ。真面目に働くだけでは報われないどころか、まともに生きてもいけないのか。もう我慢ならん!
世間のしがらみもなくなり、先行きも短いジーサン達は、こうなったら大きなリスクをとることを厭わない。たとえ捕まっても、メシも健康管理も今よりマシだろう、みたいな。
冒頭、住宅ローン返済に行き詰ったジーサンの1人が話を聞きに行った銀行で、強盗に巻き込まれるのだけれど、彼らの手口がとても鮮やか。しかも、ジーサンが強盗の1人に財布を差し出すと「年寄りを敬うのは社会の義務だ」と言って受け取らず去っていく人情味。だからジーサン達はこの強盗を真似をしようと思い立つ。
その後の展開は映画ならではで、ハラハラするはずのシーンもあるけれど、安心して見ていられる。だってこれは、無法者だけど大衆から支持される「義賊」の物語だもの。白人ホワイトカラーV.S.大勢の弱者みたいな感じで、ジーサン側は人情が味方についている。
緊張感やビックリするような展開があるわけではないけれど、なんとなくジーンとしてしまったのは、自分もジーサン側にだいぶ近づいているからかも。
●物語(50%×4.0):2.00
・普通の面白さに、自分的プラスアルファを感じるのは年のせいかも。
●キャスト、演出(30%×4.0):1.20
・オスカー3人、やっぱりいいですね。マイケル・ケインが、マイベスト・ジーサン。
●映像、音、音楽(20%×3.5):0.70
・音楽が良かった記憶が…。