140字プロレス鶴見辰吾ジラ

クリーピー 偽りの隣人の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)
3.8
えぇ!?
プロレス好きなんですかぁ?
いやあああ、いいと思いますよ。

今作は
・「貞子vs伽倻子」が見たいが、ホラーとかビックリする系はちょっと…という方
・”オカルト話”が好きな方
・プロレスに理解がある方
にはオススメです。

ザックリ言うと”ビックリしないホラー映画”もしくは”日常型モンスター映画”と解釈したと同時にプロレスへの理解に関するラインが引かれた映画じゃないかと感じました。

とにかく前半に計算されて配置された”不穏さ””不吉さ”が素晴らしいです。

生活音、風の音、風にゆれるものの効果的な使用とホラー映画的なネットリしたカメラワーク。そのカメラワークもぐうううっと引き寄せた方と思うと、ブレのある雑なカメラワークに変化し緊張感を増させると、エキストラの視線や照明の明暗など濃厚な演出力にクラクラさせられてしまいました。取り調べの最中、異世界的な明暗の強調が狂っていてワクワクしました。演出面で徹底した”不穏さ”はやり過ぎな感はありますが、ドゥニ・ビルヌーブ監督の重圧をかける感じでなく、日常がふうううっと侵食されている感じが禍々しく心地良かったです。

キャストの演技面に関しては
流石の香川照之!
えぇ!?のリアクションから小刻みな歩き方、話すときの距離の詰め方から特盛り!特盛り!
えぇ!?のリアクションは、映画「凶悪」のピエール瀧の”ぶっこむぞ”に続く真似したい悪役のセリフでした。

竹内結子の人妻役としての、疲弊感、幸薄感、そして人妻的なフェロモンとエロスに加えて、最後の最後での悲痛な絶叫が堪らない。

西島秀俊、東出昌大の化学変化を起こせる棒演技。
西島秀俊のセリフに熱の籠もっていなさが、コイツも心がない…あれ?誰も心ない?心あるのは愛犬マックスだけ?と思わせる、やる気のなさというか情熱のなさがピタリと演出にハマっていました。

今作と友人と見に行きましたが、「キャラが変わってないのはマックスだけ」との意見がその通りでした。

後半は一気にコントなのか?ギャグなのか?とリアル→アンリアルの雪崩れ込みには驚きました。映画「呪怨」の入ったら死ぬ伽倻子ハウス的に謎のベールに包まれていた隣人宅の”アリエナイ”構図(今年のクレしん映画で見た気が…)が、今作の”ホラー性”や”ファンタジック”な部分を強調すると同時に突っ込みどころが口を開けて待っていた印象です。

上記でプロレスの理解に関するラインの話をしましたが、かつて私がプロレスにハマったキッカケは、米国最大のプロレス団体WWEにて、ヘタレ悪役のカート・アングルが、身長2メートル超えのビッグショーという巨漢レスラー対策として、象をも眠らす麻酔銃で倒すという”アリエナイ””ファンタジック”な世界にハマったことから、今作に登場するクスリの存在や警察の動かせ方に関しては許せるならプロレスファンになれるのでは?と思った次第です。

えぇ!?そーゆう設定ですよ!?
いいじゃないですか〜と思えるなら傑作にもなりえる不気味さを携えた賛否の狭間で待ってる映画です



追記)
柳楽優弥
森田剛
香川照之
で和製「スーサイドスクワッド」を結成して欲しい。
追加要員求む!