第二次大戦後のデンマーク。ナチスによって埋められた地雷を撤去するために約150万人のドイツ敗残兵が駆り出された。その大半が少年兵だったと言われている。彼らは、文字通り、「ヒトラーの忘れもの」によって、故国へ帰る道を断たれたのである。今作はそうした歴史的事実に基づいている。
まだ年端も行かぬ少年たちに大人の尻拭いをさせる鬼畜軍人たち、いつ爆発するとも知れぬ極限状況、その中にあって神経を擦り減らせていく少年たち、そして、その先に待っているあまりに非情な現実。戦争の悲惨さや命の尊さを情緒的に訴える軽薄な戦争映画よりも、こうした作品の方がよほど説得力がある。
この残酷な作品において唯一の救いなのは、敵対者であるところのデンマーク側に「理解者」がいたことである。鬼軍曹として君臨した彼は少年たちの無垢な姿に触れて次第に人間的になっていく。このエピソードは恐らく創作だろうが、現実にもこんな人がいたのだと信じたい。結末に少しの希望を垣間見ながら、そんなことを考えた。
