140字プロレス鶴見辰吾ジラ

素晴らしきかな、人生の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

素晴らしきかな、人生(2016年製作の映画)
3.6
琴線に触れる破壊と再生の物語を少々の奇跡的ファンタジーにより甘く味付けした、やや下品に涙を取りに来ている作品。やや下品と言ってしまったが、それでも人生に疲れたり、悩み多き日常のセラピーのような寄り添い型の映画であるので、主人公の転落と再生にグッと後押ししてくれるようなテイスト。エリート社員のウィル・スミスが娘の亡くして自暴自棄になるところからのスタートなのだが、哀しいまでのドミノ倒しを並べ崩す1日のシーンは、何か壊れそうな我々側の日常からすれば強烈なボディブロー。ただ単に再生の物語という下味のつけ方ではなく、3人の舞台役者というおとぎ話のようなキャラクターから話をブーストし、そして主人公の周りの人生模様も変化させる”良い話”の拡張性は飽きさせない。娘の死に関して明かされていない情報が多く、ある欠けたパズルのピースが彼の再生とともにエモーショナルに繋がるシーンは思わず涙ぐんでしまうし、そして年末に見るに相応しい大人のおとぎ話感が非常に良かった。